第二百十六話「動き出す最悪の事態」
天高くそびえ立つ白きビル。
今現在このビルの最上階ではボスによる一つの計画が始まっていた。
「・・というわけだ、本日を持ってここを手放す、残りの事は全部【堕舞黒】らにぶん投げるわ、念のためMr.ゴッドとクローバー君には変わりの隠れ家を用意して学園崩壊の計画を続行、ああ、そうそう被検体だけど今更あんなのクソの役にも立たないし全部こっちで処理するわ、爆破か圧制どっちがいい?」
『・・・』
「えっ?両方?その方がよりいっそう人が減る・・うわー・・君っては人は・・なんて・・なんて・・なんて素晴らしいんだッ!!」
悪魔の笑顔。
悪雲の空。
「よしよし・・じゃあそういう方向で考えてみるわ~バイバイ」
手元に持っていたスマートホンを親指で通話を切り。
ついに全ての計画を始動させる構えのボス。
ニヤリと笑うボスがまた一つ口を開く。
「さーて・・ではでは・・君達ゴミ処理当番の大役者と・・その立役者さんにもそろそろご活躍してもらおうかな?ねえ・・藤木皇子君」
両肘をデスクに乗せ、手と手を組み口元に持って静かに悪魔の笑みを浮かべる。
そして、その視線に移る相手は一人の被検体。
この時、全ての思惑が誰の中でも予測不可能だった事を。
全ての者は知る由も無かった。
◆
一方、ビルの奥深く。
最下層では、被検体の中でも特に危険人物とされている者達が監視されている。
厳重に警備が施されており。
どんな人物であろうと近づく事はままならない。
「ふぁ~・・ねみぃ、いつまでここにいんのかねぇ・・ワイらは」
コードネーム【オメガ】。
半裸の引き締まった筋肉を見せるかのような服装で。
頭にはバンダナ鉢巻、なにより目立つ褐色肌。
彼は特に危険人物でありその優れた殺しの才能から。
地下の奥深くに封印の形でずっとここにいる。
「オメガ・・貴方がここから出れる策があると聞いて私ここにいるのだけれど?」
コードネーム【プサイ】
その若さなんと七歳、身長120センチの桜の様な髪色にセミショートの右サイドテール。
白いブラウスと青いスカートが特徴的な小さな女の子。
物静かに見えるが、頭の中では常にコンピューターの様な思考を張り巡らす。
「オメガ~・・暇だよ?私とヤリあうのと愛し合うのどっちがいい?」
「もう殺し合いは三百と二百回、交尾は一万以上やったろ?お前となんかやってる人の何かを失いそうだから・・もうやりたくね」
「えー?つまんないのー?オメガつまんないー?」
「うるせーよ痴女」
コードネーム【ウプシロン】
狼の様な犬耳ヘアーが特徴的なクリーム色の女。
セーターを着てホットパンツを着ている一見普通の女だが。
見かけた男に対して【交尾か殺し合い】を選択させ。
自分の気が済むまで徹底的にやる。
また、一度超強力な催眠や洗脳などを試みたが。
何一つ効果は無かった。
半径一千mの全ての気配を感知できる。
だが、自由人だ。
この様にサイコパスな連中を集めたのがこの牢獄の様な場所。
彼らにも危機は迫っているが。
果たして、それが今後。
最悪の絶望へと繋がるか。
それとも、奇跡の希望へと繋がるか。
それは神のみぞ知る。
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