第二十二話 「夕焼けからのスタートライン」
「あ、先輩!一つ言い忘れてしまっていた事がありました!」
「なんだい?」
そんな目をキラキラと輝かせて・・。
多分また俺と山田のカップリングが最高だとかそういう奴だろう。
「助けてくださって・・本当にありがとうございます!先輩は私の中で世界一カッコイイ先輩です!」
おう・・またそんな俺の右手をギュと握って敬意の示し・・。
しかもニコニコと笑い満面の笑みでニッコリとこちらを見る。
・・まったく、本当に可愛い奴め。
だから、いつまでも一緒にいたいし、恋してしまうんだろうな。
こいつめ・・こんなに近くいるなら頭でも撫でてやるとするか。
少し謎行為ではあるけど。
こんな撫でたくなる可愛いさだから不可抗力だから許せ。
「うひゃあ!先輩!急に頭なで・・撫でられると恥ずかしいですぅ・・」
「(柳原先輩躊躇なく撫でた!?)」
「いいなぁ・・私も撫でられたいなぁ・・」
「(えっ?!そこッ?!山田先輩こんな状況でも変わりませんねッ!!)
納得の漂う犯罪臭・・いや、これは頭を優しく撫でているから決して。
やらしいことはしていないはず・・いや女の子の頭を撫でるのはもしかて。
セクハラの1つに入るのだろうか・・。
そうだとしたらちょっとこの辺でトドメておこう。
周りの目が冷たい気がしてきた。
「ごめん・・でも本当にありがとう!」
「・・はい!なんだか・・恥ずかしいですけど・・すっごく嬉しいです!!」
良かった、特に怒られることは無かった。
これで何か言われていたら本当に立場無いから困っていた所だ。
というよりこの可愛いと思った時頭撫でたくなる衝動はなんだろう。
病気?
俺もしかしてビフィズス菌取り過ぎた?
いや、考えるのは止そう・・男の抑えられないアレだろう。
そういう事にしておこう。
「いつまでイチャついてやがるんですかコノヤロー」
「きっくん、そろそろ帰らないと怒られるよ?」
「(二人の視線がさっきより冷たい・・やっちまった感・・)」
ともあれ、恐ろしいくらい難解な約束をしてしまった俺達。
波乱の幕開け、新たな進展、色々盛りだくさんの今日。
今日という日が、俺の新しい日常の始まりだ。
この方向性がとびぬけた奴らと過ごす、日常の物語。
この夕焼けの空、輝く太陽の下で俺のスタートラインは今。
一歩目を踏み出し始めたんだ。
「じゃあ、先輩・・帰りましょうか!」
「ああ、帰るか!」
これが、俺達の日常の始まりである。
とてもとても壮大な人生の一章の始まりであり。
物語の一ページだ。
さあ、明日からもまたこの学園でそのページを進めよう。
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