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第二百十二話「知られざる真実ここに」

「・・ふむ、流石・・流石だね・・被検体・・いや、実験番号1914君」


「・・実験番号?」


クローバーが謎の語源を口ずさむ。

実験番号、被検体、それらの語源を口ずさむごとに。

彼女はニタリと笑い、比叡に近づく。


「比叡くん、君のお母様やお父様がいない事について・・何故、いないのか、何故、君が生まれた時から一人ぼっちなのか・・何か知りたいと思わないかい?」


「・・何故、お前がそれをッ!?」


この場にいる者すべてが疑問に思う行動。

何故、この場で比叡の知りたがっている情報である親との関係。

そして、親の事について語り始めたのか。

それは、彼女自身が愉悦に浸りたいからだ。


絶望よりも深き奈落の闇。

彼女のどす黒い悪意のオーラと言えば。

ただの悪人とは分けが違うのである。


「何故、君が生まれた時・・親がいないのかそれはね」


「・・・」


ゴクリとつばを飲み、汗が噴き出る比叡。

焦る感情の中、その頭の中では不安を抱いていた。

自分は今から、恐ろしい事実を知らされてしまうのではないか。

そうなってしまえば、自分は正気でいられるか。

心も頭も体さえも全てが不安だった。

だけど、今は受け入れなくてはいけない気がしていた。

その内心がどれだけ不安であっても。

自分はその事実を知っておかなければいけないと思っていた。


だからこそ焦り来る不安を受け止め、今はただその事実をうのみするだけだった。


次の瞬間・・クローバーが口が開くと同時に。

目が見開き、その闇と絶望は一気に押し寄せてやって来たのだった。


「君は・・アンドロイド・マザー・システムによって生み出された・・人工生命体だからさッ!!」


「な、なんだと!?」


ニヤリと口を開きまるで化け物の様な顔。

あまりにも衝撃的な事実を知らされてしまった比叡は驚きのあまり。

手に持っていた武器である鉄パイプをポロリと落としてしまう。


「・・・嘘ではないですね」


ミルクレープがぼそりとつぶやく。

そう、彼女もまたそのシステムの仮定で生み出されたアンドロイド。

当然その脳内にはその情報があった。


「そうだともッ!お前は良く知ってるよな?!プロトタイプ!アンドロイド・マザー・システムとは・・この世の少子化対策を補うための全知全能のシステム・・女がゴミになるなら・・我々があるべき姿のメスを用意するまで・・アンドロイド・マザー・システムは・・要するに子を量産するためのだけに作られた子を孕める機械ッ!お前はその中の成功体なんだよッ!比叡ッ!」


「・・俺が・・俺が・・機械の・・息子?」


「だが、お前は欠陥品だった・・マザー・システム最初期の頃・・あのフランがお前という存在を生かしたいがために・・若かったお前はフランの言いなりになりただ逃げ続けた・・果てにはどこにいったかさえも分からなくなり・・俺達はフランに足止めされ・・行方は知れず・・だが、こうしてやった会う事ができたね」


動揺を隠せない比叡に一つの思考がよぎる。

それはそうなれば母の存在が知る事が出来た事。

ならば、せめて母はどこにいるのか。

その自分を生んでくれた機械の母はどこにいるのか?

比叡はたとえどういう人物であっても自分をこの世に生み出してくれた人物を。

否定はしなかった、だからこそ、今の生存状態さえ知りたかった。


「待てよ!それじゃあ・・その母さんはどこなんだよ!」


「ああ・・それか・・」


あきれ返る様に静まるクローバーが目の色を変えた。

まるで何かゴミを見るかのような瞳。

それは血も涙も感じさせない人ではない何かを思わせるかの様。


そして放たれた一言は。


「それならもうとっくに・・死んだよ、アイツは・・最後までお前の事を気にかけて、スクラップにしてやった、高価な部品を回収してな」


衝撃的すぎる母の死の報告であった。

比叡の精神がどれほど強くても。

この真実を素直に受け止める事はできなかった。

ただ、残酷な知らせに絶望するほか無かった。


「な・・なんだと・・ッ!?」


「当然だろう、裏切者は殺す、失敗を犯した者は死ぬ・・ただそれだけ・・いいか、タランチュラでは妥協はしない・・欠陥品も失敗作もいらないんだよ、情報として残るくらいなら処理をする、完璧だな」


これが容赦も妥協もしないただの暗黒組織タランチュラの実態。

危険薬品開発会社であり、危険物取扱会社である。

裏社会の王とはまさにコイツらの事を言うのだった。


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