第二十話 「成長はあるもの」
「山田!リスクを背負うのは俺だけで構わないッ!」
「ふざけるな!これは生徒会の問題なのだろ?」
「うっ・・確かに」
「大事な後輩を傷つけられそうになった挙句の果てに私の菊を傷つけた」
「(えっ!?先輩今私の菊って言いましたの!?柳原先輩なんて妬ましいッ!!)」
「(あぁ!!やっぱり山田先輩は先輩の事をそこまで・・流石ですッ!!)」
や、山田ァァッ!?
さりげなく私の菊とか言い出すあたりもうなんか恥ずかしいからやめてくれッ!
グッ・・でもコイツの言ってることは正しい。
生徒会の問題だからこそ、生徒会長もその覚悟を背負う。
何も・・何も間違っていない。
「けど・・もし出来なかったら・・」
「きっくん・・心配いらないよ・・」
「へっ?」
「もし出来なかったら・・なんて無いよ、だってやるしかないんだから」
「・・そうだな」
そうだ、また不安とプレッシャーに駆られて教えられてしまった。
もっと山田を信用し信頼すべだった。
やれないなんて言わない、やるしかないんだ。
「決まったな、今の言葉しっかり覚えとくぞ・・生徒会さんども・・」
「ああ、覚えてろ・・そしていつの日か・・必ず撲滅させてくれる」
「私達生徒会が・・必ずやってやるさッ!」
「・・まあ、精々頑張ってくれや・・どうせ無理だとおもうけどな」
「地獄のへの片道切符だぜ!」
「精々あがいてみろやッ!」
「お前らが三月で辞めるの楽しみやでッ!」
「頑張れやボケナスッ!」
恐ろしいくらいテンプレな消え去り方だった。
しかも捨て台詞の最後の奴・・それでいいのか。
ともあれとんでもない約束をしてしまったものだ。
果たして一般人な俺に三月までに完遂することはできるだろうか。
「はぁ・・」
「あわわ!大丈夫か?!きっくん!」
「ん?大丈夫・・疲れただけさ・・ちょっと荷が重いなって・・」
山田に支えられるくらい今体の力が抜けてしまっている。
情けないな、本当に情けない。
「全く・・無茶苦茶な約束するからですよ!柳原先輩ッ!」
「ああ、でもしてしまったモノは仕方がない・・絶対やってみせるさ」
「・・そうですか、まあ頑張ったらどうですか?」
相変わらずキツイな・・藤宮らしいな。
顔もそっぽ向けてプイっとツンツンな態度。
さっきまで弱気だったのが嘘みたいだ。
「・・あと」
「ん?」
「・・・ありがとう・・ございました」
「ああ、ありがとう!」
まだプライドの高さが前面に敵に残って入るけれど。
小さな声でその感謝の言葉は俺に凄く伝わった。
ありがとう、心に響く言葉だ。
藤宮なりの最大限のお礼の言葉だ。
何も指摘はしないでおこう。




