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第百八十一話「榛名の特製オムライス」

「というわけで!先輩!私の初の試み・・榛名オムライスです!」


う、うわーい・・榛名の作ったオムライスだ。

なんて喜んでやりたいが許せ。

さっきのロシアフルコースで大分腹の中がやばい。

だが、榛名の作ってくれたこの料理に対して残すなんて真似はしない。

作ってくれる飯そして生まれて俺達を生かしてくれる素材に感謝。

俺はこの料理を食べる義務がある。

野菜の英知そして授かりし肉の涙。

俺は彼らの失われた命で俺の命を宿す。

食べなければ、失ったモノに非常に失礼であろうッ!


「榛名・・ありがとう・・俺の為に作ってくれたんだよな・・」


「はい!先輩に一日でも早く学園へ復帰してほしいので!」


「いいぜ・・食べるよ・・ッ!!」


スプーンを親指に挟み両手で手を合わせていざ。

いただきますの挨拶が整えば俺はコイツを食べるッ!


「いただきますッ!!」


さあ、いただこうこの世の作られし命で作られた最高の料理。

もはや自分でもなにを言っているか分からないが。

俺さえも理解できない。

だが、今やるべき事は分かる。

この目の前にある料理を食べ尽くす。

ただ、それだけの事ッ!

スプーンを掲げて、するどくオムライスを食べ尽くす準備が整えば。

俺は後はこれを完食するだけの話。

だが、ただ急いで食べるのはダメだ。

それは俺の流儀に反する。

榛名が作ってくれたのならよく味わい。

その一口を嚙みしめ、のどに通られせると同時に。

想像させるんだ。

その全てのイメージを爆発させろ。

俺も一人の男であるのなら乙女の作った料理に雑に食べる事など言語道断。

一口一口を大事にすれば自ずとその頭の中に口から広がる感想が出る。

だったら何にも問題はなく、俺は榛名にありのままの感想を伝えられる。

だからこそ、良く味わい・・よく噛む必要がある。

食感・味覚、これこそ美味しいモノを食べる時に必要な人としての感性。

これさえあれば・・全て意のままッ!

長きにわたり、意を殺すかのような死闘を繰り広げ。

榛名を不安にさせる事もなく俺は・・。


完 食 完 了。


「い・・いかがでしたか?」


「最高だ・・酸味の効いたソースが卵と味わい深い一品となっている・・少し変わり映えしたオムライスになった秘訣はおそらくライス・・どういう仕組みかしらねぇけど・・このケチャップ・・若干甘く辛い・・この一見混沌とした味覚を問われそうなオムライスは中々に良い・・最高だ榛名!」


「本当ですか!頑張って作った甲斐がありました!」


良かった・・榛名を悲しませる真似はしたくないからな。

両手を合わせて目をウルウルとさせるほど嬉しかったのだろう。


「これなら榛名も良い嫁になれるよ、旦那さんとか彼氏が喜んでくれるな!」


「えっ・・!?は・・はい・・そうですよね・・」


「えっ・・あ・・」


あ、やっばいこれ凄い気まずい雰囲気になったぞ。

これはどうすれば解消できる!?


「お兄ちゃん!今私がオムライス作ったんだけど食べるッ?!」


「わ、私も作ったの・・食べてお兄ちゃん!」


「そうラベンダーちゃんも作ったんだよ!食べよ!お兄ちゃん!」


ドアを勢いよく開けて来た妹とラベンダー。

すげぇ、二人とも片手に持ってるそれはオムライス。

しかも、なんかどっちも違う感じってのがまた・・。


「え、先輩さっき食べたばっかり・・」


「いや、食べるよ!もちろん食べるよ!」


「ええ!?ダメもとで頼んだのに食べちゃうんだ!」


「お兄ちゃん本当に・・オムライスしゅき・・あっ・・」


「ぷぷっ・・ラベンダーちゃん・・しゅきって・・しゅき・・フフッ!」


「ひ、酷いよお姉ちゃん!もー!!」


思わずその場の雰囲気がガラリと変わってしまう賑やかな一瞬。

妹に感謝しなければならないな。

俺も榛名もさっきまで暗い雰囲気になりかけていたのに。

まるでさっきまでのが嘘の様に変わり行く。

ラベンダーと苺の二人が持ってきてくれた幸せの空間。

ありがとう、最高の妹達・・。


それはそうと・・もう少しだけもってくれ・・俺の胃ッ!!


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