第百六十八話「女たらしだけども」
時刻は午後7時港に用意された豪華客船にての出来事。
ここでは多くの生徒と乗客を乗せてあのネオ生徒会会長である浜田が。
今後の活動にも全ての人達を幸せにし、今後もみんなの為に切磋琢磨する。
そうアピールをするための場として設けられている。
だが、人々は知らない、もちろん豪華客船の乗員も。
この船は反抗的活動をしたネオ生徒会一同を全て処す為の作戦にすぎないと。
この事を知るのは主犯格の的部二浪のみ。
そんな事も知らないまま、乗客は今宵のパーティーを楽しく過ごして行く。
ここにいれば、命が奪われるとしらず。
ただ、はしゃぎ、危機感の無いまま楽しむだけだ。
一方で、会長としてのアピールが終わり。
しばし休憩を取る為客船の個室へと入り。
監禁していた藤宮の様子をうかがいに来た浜田。
ニタニタと笑い薄気味悪い笑い声を出して藤宮の顔を除く。
「もうちょっと素直になれよ・・藤宮君~」
「素直に・・嫌いだから・・今私この様な顔なんですけど?」
藤宮は恐怖していなかった。
怒りの形相で声を変えず浜田わ睨み返す。
浜田もただ睨み、こんな女に何ができると見下した表情で見る。
互いに思いが違えどどちらにも恐怖はない。
どちらにも恐怖したくない理由があるからだ。
それが、相手に見せる弱さになってしまうからだ。
「ああ・・まあいいさ・・いいよ、好きなだけそうやっているといいさ・・どうせなにやっても無駄だよ・・君もそろそろ新しい感覚えたら?」
「覚えません」
「人の心って思ったより単純かつ簡単に変わっちまうんだよ・・どんな深い愛にも金の前では無力だし、どんな正義も金で変わる・・凄いぞ・・金は・・俺の思う通りに世の中が動く!今日の理事長は動かなかったが・・明日はここにいる全員で提供する10億で理事長の心も粉々に砕いてやる」
「無駄です」
「そうすればあの学園は意のまま・・俺の計画も成功する・・金で動かないのなら次は人質でも弱みでなんでも使ってやる・・みんな俺についてくれば幸せになれるッ!みんながwinwinなんだッ!これは平和の為だッ!お前も従えッ!」
「従いません」
「いい加減にしろよッ!?女ァ・・ああ?!てめぇだって金の娘だろうが藤宮ッ!高々偉い所の娘ってだけでコネとか使って学園に来てんだろッ?!だったら同じ穴の狢同士仲良くやろうぜ・・ここはそういう所だ・・」
「断固として・・お断りします」
「・・・ムカつくぜェッ!?なんでだよッ!?ああ!?」
会話を重ねるごとに怒り狂う浜田に対して静かに怒り冷静に答える藤宮。
藤宮の心はまったく揺るがないどころか弱まる事を知らない。
「世の中全てが金だというなら・・柳原先輩だってその金で全てを解決できたはずです、ですがあなたは天敵を見誤った・・柳原先輩はおろか・・相手は貴方の言うお金では何も解決できないからです」
「十億を用意すれば誰だって心は静まる」
「静まりません、貴方は一人の女性をただ愛し続けた女たらしの罪深き男の強さを知りません」
浜田は唖然とした。
もはやその言葉にどう返せばいいのか分からないからだ。
この瞬間にすでにその男がどのような覚悟で生きているかなんて。
一発で分かった事である。
「彼は自らを女たらしと自覚してはいます、別に女性の純潔も体も目的ではない・・彼はただ自分が仲良くしていたい女性と一緒にいたいんです・・それゆえに彼は人一倍女性を悲しませてしまうんです、彼は・・あまりにも仲の良い人に特別視を与えやすいから」
「ハッ!とんだ糞野郎だ」
「ええ、糞野郎です、今すぐに処されるべきだと思います・・ですが私はもはやそんな事どうだっていいんです、重要なのは柳原先輩がただの糞野郎か糞野郎であり・・それもまた彼の志か・・彼だって別に好きで女の子をたらしているわけではない・・馬鹿で優しすぎるから・・いつも周りが好いてしまう・・どうしようもない人です・・貴方の様に人たらしのただの糞野郎とは大違いだッ!」
その言葉に藤宮に対する怒りゲージがピークを達して。
ついにその手が藤宮ほめがけて放たれるその瞬間ッ!
ドォォォンッ!
驚異的な爆発の音そして揺れ動く客船。
一体、この船に何が起きたというのかッ!?
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