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第百六十一話「会議開始前」

さて、時は過ぎて時間は生徒会室での緊急会議まであと数分。

主にネオなんたら会との合同らしい。

授業時間を朝から1時間潰される終始迷惑な話だ。

さらにはさっきの山田とのやり取りのせいで山田ともいづらい。

隣にいるだけで、さっきのトラウマ解答がフラッシュバックする。

何度も何度も記憶をループして、何回もロールバックする様に。

思わず思い出しそうになったら、ギュっと手を握りしめて。

親指で強く強く人差し指の根元をもっと強く押し込む。

痛くなるまで、ずっと痛みでこの苦痛を押しのける様に。


「(ダメですよ・・先輩)」


「(榛名?)」


俺が強引に手の痛みで全てを和らげようとしていた時に。

隣に座っていた榛名がそっと俺の手首を握り優しく小声でささやく。


「(先輩の優しく温かい手は・・そんな事をする為にあるんじゃないんです)」


「(・・す、すまん)」


「(フフッ・・謝らなくて大丈夫です・・ですから・・そんな真似は止してください・・愛川さんがまた泣いてしまいますよ?)」


「(愛川が?)」


「(先ほどもひどく泣きじゃくられておりました・・山田先輩様の事も気にかけ・・柳原先輩様の事も気にかけて・・私はどちらの味方をすればいいんだと、私は二人の喧嘩を止める事はできないかと・・お二人の仲良くない姿に涙を流されていました)」


「(そんな事があったのか・・)」


愛川・・俺の知らない所でそんな事が起こっていたなんて。

本当に申し訳ない気持ちしかない。

愛川にまでそんな思いをさせて、榛名には気を使わせて。

ロクな先輩じゃねぇよな・・まったく。


「(本当に・・ありがとう・・なんて言ったら分かんないけど・・)」


「(お礼なんていらないですよ、その気持ちだけで・・私は十分です)」


榛名の優しい声、その一言から伝わる純砂な思い。

俺は今、その優しい言葉によって支えられているも同然か。

情けないが、本当にありがたみを感じる。

もっとしっかりしなきゃ・・もっと・・自分だけでもできる様に。


「あらあら~何をかしこまった表情してるのかしら?」


「海王咲・・」


いつのまにか来ていた海王咲が俺を上から見下ろす様に話しかける。

そして・・隣から感じる山田の強い睨み合う視線、俺を挟んでまた喧嘩か・・。


「おー怖い怖い・・これからただの会議ってだけなのに本当に元生徒会長は野蛮ね」


「全くだねぇw少しは君達親善大使とか新党条約とか知った方がいいよ!w」


海王咲はあからさまに演技で煽ってるんだろうけど。

目覚めたばかりで記憶がまた飛んだのか堕舞黒の煽りはやっぱり腹立たしい。

この憎たらしいデブ顔といい、太りすぎた体系といい全てが腹立たしい。

大体なんでその2つなんだよ、もっとあるだろ。


「おやおやww?分からなかったかなw?そっかーwおwまwえwらw俺より頭悪いもんねーwww馬鹿には馬鹿様の答えを言わないとねーww?それとも聞こえなかった?耳悪いねー?眼科行け?ww」


「は?」


「堕舞黒様、御戯れが過ぎます・・さっさと行きましょう」


「おうおう・・そう急かすな急かすなってww」


・・アレ?

堕舞黒を連れて去って俺の後ろを通ると同時に。

なんか背中にくっついた様な・・。

なんだろう。


「これは・・紙?1枚の紙だ・・」


【榛名は誰からの盗聴器も受けていない、信用してあげて、しばらく貴方のサポートとしてついてくれるわ】


「・・海王咲」


ああは言ってもやっぱり根は良い奴なんだよな。

ただ、堕舞黒に弱みを今でも握られてまともな事一つもできない様にされて。

本当に・・可哀想だと思う・・。

俺だってできる事なら海王咲にはもっと好きな様にしてほしい。

堕舞黒にだってこの学園にいてほしくない。

だが、それを望んだとしても・・結局叶わないんだ。

何も、俺にはそんな力はないから・・。


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