第百五十七話「頭が高いのじゃ!」
この学園はついにどこの馬の骨とも知らない幼女にまで乗っ取られる学園になったのか?
なんだ、何がどういう経路であんな子が理事長代理をやっている?
とういかなんなのあの子は!?
「諸君!私は主らに今一度問おう!主ら人とは何の為にあり、何のために生きるのか!答えは一つ・・明日の未来を作る為にその命がある」
こ、今度は急に一足一足歩きながら演説?!
もはや女王陛下か何かなのか?
・・手が出てないそのぶかぶかの腕でビシッとしていると。
ただの可愛い子にしか見えないわけだが・・。
本人はきっと真面目なんだろう。
「諸君!今一度問おう!主ら生徒達は何のためにいる!答えは一つ!未来への社会へと戦う為にこの学園でその全てを身に付け学ぶ事だ、ここは決してお前らの支配下でも無ければ・・侵略国でもない、ましてや内戦を起こして良い場所でもないッ!身の程をわきまえよッ!」
おお、でも気迫は確かに感じる。
歳に似合わないくらいの貫禄を見せつける大声。
何よりあの誰に対しても何も恐れないという意思の強そうな顔。
子供にしたって・・あの子普通じゃないな・・色々。
「良いか、貴様らは確かに目にしたはずじゃ・・この学園は今、生徒会の皮を被った悪魔の集団によって聖なる領域は汚されて侵されている!こんな事が許されるだろうか?否!許されてはならないッ!平穏を脅かす畜生によって今や我が代理を務めなければ何も始まらない状態にまで成り下がってしまった!これはゆゆしき事態!即刻に改正せねばなるまい!」
疑いどころか何も迷いがない。
彼女は間違いなく何も恐れていない。
あの理事長は人質がいたからこそまともに行動すらさせてもらえなかった。
けれども、この子はおそらくはまだ人質すら取られていないんだ。
きっと、これから目立つ行為をしてしまえば彼女も危ないな・・。
大丈夫かな・・余計な事言って堕舞黒の目に映らなければいいけど。
「ふざけんなッ!何が改正だ!」
『うわー!いつものだー!黒服だーッ!』
ほら来たまた堕舞黒の呼び寄せた奴だぞコレ?!
てか、本人までいつのまにステージに?!
「てめぇ!女好き勝手言いやがってこの野郎ッ!ずいぶん今の俺ら生徒会に文句があんだなあんくらぁ!」
「そう言ったが・・聞こえなかったか?この空脳みそ」
「き、貴様!無礼だぞッ!」
「取り押さえろッ!」
ま、まずい・・いつもの暴動に入るパターンだこれ?!
どうしよう・・前みたいに止めたいけど・・運悪くここは上階からの席!
飛び降りて最速で駆けつける他ない・・。
「ずいぶん不安そうに睨んでるけど・・心配いらないんじゃない?」
「へっ?」
「そうだよきっくん・・見なよ、アレ」
山田も海王咲もふんぞり返ってずいぶん落ち着いた表情でステージを見物。
その先に見えているモノに俺も注目してみると。
そこには驚くべき光景が広がっていた・・。
「ぐ・・ぐぉ・・」
「たわけ、貴様の様な男が束になろうと所詮は烏合の衆・・烏共がどれだけ知恵を絞り作戦を練ったとしても・・王の首を狩るには頭脳が三億那由他足りぬのじゃ」
「な・・なんて強さ・・げふっ」
だ、堕舞黒がまた気絶しおった?!
それだけじゃない・・あの二十人近くいた黒服の集団をひとまとめに・・。
あの少女ただ者ではない!
何者なんだ・・あの子は?!
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