第百五十五話「朝礼前の一波乱」
「で、どうしたよ・・二人とも」
「ふっふっ・・いつもなら邪魔で仕方ない柳原先輩がついに役に立つ時が来ました!」
「悪かったな」
「そう!今ここにいる山田先輩とっても元気が無いんです!だから元気づけてあげてくださいですわ!」
そういう事か・・まあ藤宮は大分前から山田の事を気にかけてたからな。
それに山田の一ファンだ、心配して当然。
相変わらず一言口を開けば人に対する礼儀はなってないがな。
「いや、でも俺にそんな事ができるとは到底思えないわけだが・・」
「行くよ、きっくん」
「ふぇっ!?」
な、なんだ突然!?
こいついきなり俺の腕掴んで引っ張り始めたぞ!?
いや、てかマジでこの子何してんの?!
「ああ!山田先輩待ってください!」
「来ないでください、今日はこの後の朝礼じゅんびで忙しいから、その元気づけはまた今度お願いね」
「ガーンッ・・そんなー・・ですわ」
おいおい、何もお前を慕ってくれるファンもとい後輩を。
そんな邪見に扱わなくてもいいんじゃないか?
いくら急いでいるからってそれはねぇって・・。
「山田!藤宮に少しぐらい付き合ってやってもいいじゃないか?」
「ダーメ、今日は本当に忙しいんだから、きっくんにも手伝ってもらうよ?」
「(うーん・・なんか会話が一々冷めてんだよな・・クソ真面目って感じもにじみ出てるし・・どうしたもんかな・・)」
取り留めのない会話で不安だ。
とりあえずは山田に従いながら朝礼準備へと急ぐのだった。
藤宮ゴメン・・また今度ちゃんと話すから・・。
「うっ・・うっ・・どうして山田先輩はああなってしまったんですか?髪が長い頃は本当に良い人でしたのに・・どうして・・」
「わかるわー・・その気持ち・・貴方も山田先輩に邪見に扱われたのよね?」
「・・ふぇ?」
だが、この時は何も不自然に思わなかった。
藤宮の事も、今日の事も。
今日も嫌な事が起こりそうなんて・・何も考えていなかったんだ。
この不安と共にすでにうごめいていたのかもしれない。
今回の事件の一歩へと。
◆
さて、時は朝礼の時間。
本日は生徒会の人らは指定席で見る事になった。
というわけで、偶然にも隣が・・。
「・・なんでこの子と一緒なのかしら」
「それはこっちのセリフッ!よりにもよって・・アンタね・・」
「アハハ・・いやー・・うん、これは・・(終始気まずいッ!!)」
右の席に山田、左に海王咲。
間に俺といがみ合う同士に挟まれた。
どうしてこんな席になったッ?!
「どうも山田サンッ!その節は気の毒だったわねー・・アレから支持率も下がったんですってね!?いやー・・とっても笑えますこと・・これだからへいへいボンボンの愚民はしょうがないほどにどうでも良き生活を送っていますわねオホホッ!」
「いえいえ~こちらこそ、むしろ努力をする機会ができたと思えば光栄の至りですハイ、そういえば海王咲さんって妙な苗字ですよね?なんですか中二病なんですか?それともあれですか?一族の末裔とかそんな事言い出すんですか?本当に何処までも頭が面白いお方ですよね?」
「アハハ!そちらには敵わなくってよ!」
「フフッ!そちらには敵いませんよッ!」
『アハハハッ!!』
「水底にお前をドラム缶セメント詰にしててめぇを沈めてやろうか山田ァ」
「その綺麗な顔を二度と見れなくなるくらい崩して差し上げましょうか千蝶ゥ」
おい、誰か止めろよ!?
席に座る前に立ちながら笑顔だけど心が笑顔じゃない二人が喧嘩してんぞ!?
誰か止めろって!
この二人マジで放っておくとやばいよッ!?
四天王も海王咲の後ろで苦い顔してんぞッ!?
もうすぐ朝礼だってのにこいつらはなんでいつもこうなのッ?!
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