第百四十五話「家族とは」
酷くここに到着するのに遅れてしまった。
果てにはみんなを怖がらせてしまい。
妹の苺にまで危害をくわえさせてしまった。
全くもって無関係のラベンダーにまで迷惑をかけ。
大事な愛川にも危険な仕事をさせてしまった。
そしてなにより、光太郎伯父さんに多大な迷惑もかけた。
俺が遅れてしまった分の罪は俺が背負う。
だが、こいつが起こした罪はコイツに背負ってもらう。
今からするのはただそれだけだ。
「アネモネ、愛川と一緒に外で待ってて」
「えっ・・菊お兄様は?」
「俺は君達とはいけない、けれど必ず戻ってくる・・安心して」
「・・うん!待ってる!」
「よしよし・・良い子だね」
優しく微笑みアネモネの頭を撫でて心配を和らげる。
アネモネも気持ちよさそうに笑顔になった後。
急ぎ足で愛川の下へ駆け寄る。
そして、愛川にもアイコンタクトで作戦指示を送れば。
後はもう、彼女達の心配はいらないだろう。
「(あとは頼む、愛川)」
「(はい!子供達は私が守ります!)」
愛川が誘導しながら抜け道へと急いで脱出する。
これで子供達に危害が及ぶことはない。
さて、この場に子供達がいなくなったのなら。
後はコイツだけだ。
俺の睨みつける先にいる三太郎だ。
奴とはケリを付けなくてはいけない。
「貴様・・良くも俺の作戦をぉぉッ!!」
「お前の作戦など知ったこっちゃないね・・逆に怒らせてもらうがよ・・」
「貴様らに文句を言われる筋合いがあってたま・・」
「人の大事な家族と後輩に手を出しててめぇに口を出される権利があると思うかッ!」
三太郎が俺の発言をさせまいと怒り狂い声を上げる。
だが、俺はそれさえも遮り、怒鳴りちらし心からの怒りを放つ。
目を見開いて血管がうごめくほどの激怒。
手を握りしめすぎて血が出そうになりそうだ。
だが、それほどまでに俺の今回の怒りは大きいって事だ。
だから、語る事もいつもより多めに行かせてもらおう。
「お前は愛され、愛した家系に手を出してしまったんだよ・・この世で最もやってはいけない事だ、家族に愛された家系はこの世の幸せの1つ、いくら恨もうといくら妬もうとそれを崩して何になるという事」
「うるさいッ!俺はなお前らの事が前々からきにいら」
「そしてなにより、お前は家族の絆も見誤った・・妹は俺を信じてただ待った、アネモネも光太郎伯父さんを信じて待った、それだけじゃない・・俺達家族も後輩も傷の舐めあいではなく真の友情と愛情で結ばれた絶対に断ち切られる事のない心情の絆」
「そうだ、俺達家族はその絆で支えて生きている、誤った事をしたら怒り、楽しい時は笑い、泣いている時は慰め、嬉しい時は一緒に微笑む、それを積み重ねて来た俺達だからこそ言える、家族を狙う奴は誰であろうと許しはしないッ!!」
「どういう意味か分かったか?お前らの様な薄ら脳みそになんの罪もない人々を脅かす野郎がどうしても許せないって言ってんだ・・今日という今日はマジになっちまったよ」
「お、お前ら・・お前光太郎ッ!そして・・貴様は何者だァァァッ!!」
「何者か・・どうか・・その目で確かめてもらおうか・・俺は・・世界一罪深い罪人だ」
風が吹き荒れ始めるこの場に。
ついに、逆転の光が差し込む。
さあ、始めよう。
逆転の時間だ。
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