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第百四十二話「作戦開始」

ひとまず作戦に乗り出る俺達は外へ出てまずは光太郎伯父さんを見送る。

これは一人で送り出すわけではなく、目的のある作戦である。


「危険だと思うけど・・無茶はしないでください」


「ああ、分かっているよ、そっちも気を付けて」


「ええ、後で現場に向かいます!それまでどうか!ご武運を!」


「よし、行くぞ!相棒ッ!」


ブロロロロッ!!!


ヘルメットを瞬時に装着し、勇ましい掛け声と共に走り出す。

このエンジン音と共に走り出した黒の少し古めかしいバイクこそ。

光太郎伯父さんが大事にしていた相棒のバイクだ。

何十年とメンテを怠らず今も使い続けているらしい。

今、それが走り出して行ったんだ、あの場所へと。


「さあ・・時間がないぞ・・こっちも行動しなきゃな」


「先輩、準備は万端です!いつでも行けますよ!」


「少々遠出になるけど・・覚悟はいいね?」


「バッチ来いです!お任せです!」


「よし・・行くかッ!」


足に力を入れていざ走る準備だ。

もはや、何か違うモノが感じられてしまうが。

これも一種の作戦の為、致し方がない。


その前に妹へのちゃんと言っておくことは言っておかないとな。


「苺!誰が来ても絶対開けるなよ!あと、戸締りはしっかりしておくこと!いいな?」


「分かってるよお兄ちゃん!心配しなくても・・私の事は気にしないでいいから!今は光太郎伯父さんの力になってあげて!」


「りょーかい・・頼むぜ・・すぐ戻ってくる・・ラベンダーちゃんも良い子でいてくれ!帰ったら飯でも食べようッ!」


「う、うん」


よし、これで再び外出する準備は整った。

挨拶も済めばもはや後は出発するだけッ!


「行くぞッ!全速力でッ!走るッ!」


「ハイッ!護衛はお任せください!」


そう、これは【直接兄の下へと向かう作戦】である。

何故かと言うと。

下手に電話を入れた場合何らかの形で受信をハイジャックされてしまうらしい。

彼のらの様な未知の相手に電話が使えない以上。

こちらはこの足で向かうしかないのである。

それでもなんらかの危険はあるだろうから。

本当に情けない話、愛川に守ってもらうしかない。

何で俺って一人で戦えんのやろ・・いや、それが普通なんだけど。

本当に情けなくてごめんよ・・愛川。


なにはともあれ今光太郎伯父さんの娘さんを救う為には致し方ない。

救助最優先で愛川に守ってもらうしかない。

いざとなったら俺を見捨てて行けと伝えてある。

時間との勝負であり、かなり高リスクのある作戦。

さあ、勝利の女神はどっちに味方してくれるッ!


 ◆


一方、兄の見送りが終わって家に戻ろうとしていた妹苺とラベンダーは。

ふと、あの柳原菊を気にかけていた。


「お兄ちゃん・・大丈夫かな」


「心配しらいなよ、お兄ちゃんは強いし、愛川さんはもっと強いよ!」


「そうなの?」


「うん!私、一回気に登って落ちかけた事があってね、でもその時もお兄ちゃんが死に物狂いでキャッチしてくれて・・愛川おねえちゃんがそれをさらにキャッチしてくれたの!愛川おねえちゃんもすっごく良い人だったし・・なにより・・あの時お兄ちゃんがすっごく優しくしてくれてね、私の事を何一つ怒りもしなかったんだ・・怒って当然なのに・・」


苺のその言葉だけでラベンダーの中では理解できる。

柳原はあえて怒らなかったんだと。

恐怖に怯えていた苺にさらなる恐怖を与えない為に。

菊は苺に優しく接したのだと。


それだけで分かってしまう、非常に優しい人だと。

ラベンダーは思うのだった。


「おにい・・さん・・良い人・・だね」


「うん、とっっっってもいい人・・優しくて、強くて、かっこよくて・・素敵なお兄ちゃん・・愛川おねえちゃんと将来きっといい関係になってくれたら・・私は幸せ」


「・・うん、二人とも・・すっこぐ・・幸せそう」


「ラベンダーちゃんもそう思う?だよねー!私もそう思う!」


「えへへ・・うん、同じ・・気持ち・・嬉しい・・」


「うんうん・・よし!私達もお兄ちゃんの帰りを待って今は家に入ろっか!」


「うん、そうだね・・」


兄の無事を祈って家の中へ入ろうとした。


その時ッ!


「モガっ?!」


「ングッッ?!」


「ケケケッ・・そうはいきませんよ・・しばらくの間・・眠ってもらいましょうか」


「(なに・・これ・・お兄ちゃん・・たすけ・・)ッ」


「(ダメ・・これは・・)・・ッ」


「クロロホルム・・の強化薬・・絶大ですねぇ~」


思わぬ所で惨劇が起きてしまう柳原家のピンチ。

どうなってしまうのだろうかッ?!


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