第百二十四話「掃除人間信二」
「で、四字熟語の中でも魑魅魍魎ってのはかなり難しい四字熟語でな・・むしろ知ってる人の方が少ないともいう、普通に過ごしている一般の奴らは特にな」
「えっと・・ちみ・・もう・・りょう」
「椎名、それは魂四つ書いただけだろ、そもそも隣にあるのは鬼だ」
「え?これじゃないの?」
「(椎名ちゃん鬼の横にも漢字あるよ!)」
「おお!土御門ちゃんありがとう!流石はツッチー!」
「(どういたしまして!)」
「・・で、成果の方は?」
「じゃじゃん!できました!」
※書かれているのは 鬼璃鬼未来鬼鋼鬼柄
「違う、そうじゃない」
◆
一時間目終了までは下の階で小さな図書館の整理。
あの大図書館ほどではないが、ここも普通の教室並にいい本の並び具合だ。
特に、点字やふりがなのある本が多いのが誰に読ませたいのか分かる。
これらの本を番号順に並べたりするらしいのだが。
「・・その前に掃除をするとは・・潔癖症だね・・」
「とーぜんだ!こんなホコリだらけの部屋で本を読むなんて考えられるかッ!さっさと雑巾で床を拭いて、机を磨いてゴミを塵取りで集めてゴミ袋に捨てろッ!ああ!窓を開けてるから虫が入って来ても絞めんなよッ!オラオラ!掃除の時間だッ!!」
「・・ああ見えてすげぇしっかりやるんだな」
武蔵に同意するこの信二の性格の変わり様である。
まるで本職の人見たく次から次へとその場その場を綺麗にしていく。
信二が過ぎ去る場所はキラキラと輝き太陽光に反射して輝きを放つ。
本棚もキッチリと並べられ、本棚の上、忘れやすいホコリのたまり場。
どこまでこだわり掃除ヲ怠らない姿勢に拍手を送りたいぐらいだ。
「いやー・・まさか信二君がここまで綺麗好きだとはね~・・あ、本は並び終えたよ」
「ご苦労様です、城ケ崎先輩!当然の事をしているまでですよ!僕は汚い場所での生活とか大嫌いですからねッ!実家のおばあちゃんの屋敷の掃除も手伝った事があります!」
やっていくうちに身に着いた技って事か。
納得の掃除スキルだ。
「ほおー・・家事ができる男子はモテるぞ~武蔵みたいに」
武蔵も家事ができるのか。
確かにあの面は裏では女子力高そうな事してそう。
「お、俺はできる事といえば掃除炊事洗濯ぐらいだし・・」
してそうってか思いっきりしてたわ。
しかも一つや二つに止まらない当たり流石。
「武蔵、それを十分家事のできる男って言うんだよ」
「そうなのか?柳原」
「うん、全然できる男子や」
「そ、そうか・・」
この子わりと褒めただけで凄い喜ぶよな。
純粋かはたまたアホの子なのか。
「あ、俺他の部屋も掃除してきますよ、こうなったら徹底的に掃除してやりますッ!」
「次の授業は信二君だから、それには遅れるなよ?」
「分かってますよ!それじゃ!」
気合の入った二年生だな、掃除であんな笑顔してる奴初めて見たわ。
きっと掃除をしている時とか一番心が落ち着くんだろうな。
アレはそういうタイプの人間だ。
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