第百二十三話「始まる運命」
時は特別級棟二階廊下で改めて集まった者で話し合いをする俺達。
アレだけのメンバーがいるにも関わらずかなり少数だが。
果たしてこれがどう出るか・・。
「さて、改めて・・集まったのはこれだけ?」
「俺に霧島、信二、榛名に愛川・・あと武蔵と華蘭」
「・・なんかアレですね・・生徒会メンバーがほぼいないんですけど」
「他三名はボランティア感覚で来てくれたからな・・まあいるだけマシだ」
霧島や信二がため息つくのも無理はあるまい。
今の現状で放置されているにも関わらず。
何故、ここに来て勉強を教えに行かなくてはならない。
そう思う生徒の方が多いはずだろう。
まあ、最も・・何故いると不安になる要素もあるのだが。
「ふふ・・このボクの事忘れてなーい?」
「矢部、君は勝手について来ただろう・・」
「んふ・・僕だって・彼らに勉強の1つや二つ・・教える事は容易いって事を証明してやろうと思ってね・・まあ、これでも・・実力ある矢部家の者として・・ふっ」
「大丈夫かよ・・こんな先輩に任せて」
「まあ・・いるだけ不安要素だからな」
「んふふ・・ひどい人達だな・・ふふ」
今この場にいる三人が不安になるのも分かる。
とにかくこの男は存在自体が怪しい。
女たらしの噂は耐えず、強いてはヤリ捨て野郎とも言われている。
その他、ナンパ野郎や裏社会のクズなんて事も言われている。
彼が本当にそんな噂があるのか。
少しばかり興味があるが、まあ気にする事もない。
とにかく、今日の特別授業に支障を出さなければなんでもいい。
「・・まあ、いい・・とにかく残り時間ももう少ないんだ・・限られた時間の中で教えられる事全部教えに行くぞ」
「ああ、分かってるぜ」
「まず、僕が一時間目の国語、二時間目は信二、三時間目は柳原で頼む」
「あれー?僕は?」
「矢部は下で待機」
「待機・・んふ了解」
コイツ・・放置されている事に気づいていないのか?
「残りのメンバーには棟内にある施設の整理を担当させる、これで出来る限りの力になれるはずだ」
「下校時刻16時までになんとか間に合うか間に合わないかのスケジュールだな」
「ま、後の事は考えず・・今は教える事だけに集中しよう」
「・・そうだな、よし・・必ずこの特別授業を成功させよう、そして・・願わくばこれが俺達とこの特別級の交流の一歩に繋がるように・・成功をッ!」
『おうッ!』
初めて意気投合する俺達。
互いに変わり者同士が集まるからこそできるボランティア。
ついに始まる初の授業代理講師。
俺達高校生にそんな事ができるのか。
不安はあれど、今はやるしかない。
いざ、運命の幕開けである。
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だがこの時はまだ知る由も無かった。
心臓の高鳴りから感じていた不安。
それは確実に予感していた。
俺の不安は予想外の方向へと導かれてしまい。
人生で最も起きてほしくない事が起こってしまうのだった。
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