もう一度!-01
新しい章に突入です。
そんな訳で、ぜんかいのあらすじ~!
彩花ちゃん、俊樹に急接近!
でも、俊樹たちはDOGSの監視下にあったのでした。
おしまいっ!
「メンタルの面では問題ないわ、今のところはね」
春香がAAMYのログを確認している。
「本格的に格闘したのは、今回が初めてなんでしょう?」
「そうね。アタシが知ってる限りでは、庵治での一件だけのはずだから…」
ここは仏生山クレーターの中、富野研究室仏生山別室。先日のEVE-00の襲撃による影響を懸念した春香がやって来ていた。勿論、…というか、裕二も付いてきている。彼には一馬にあっさりと破られた、ここのセキュリティを担当してもらっていた。
「こっちも今のところ攻撃された様子はないぜ」
「ふうん… 本体を欲しがってるならともかく、端末の方に興味を示すってのもわからないでもないわね」
アタシは春香に意見を求めた。
「そうね。この本体は規模こそ大きいけれど、処理能力の高い演算装置ってだけですもんね。そういう意味では、既に一馬さんが抜き取っていったAAMYのデータ以外は興味が無いのかもしれないわ」
「その演算能力を具体化する端末のデータも欲しいってところかしら?」
「そうね。…MAI-5000はあくまで端末にすぎない。でも、だからこそのスペックが要求されてる。一馬さんがどこまで再現できているのかは興味あるところだけど、…舞衣から聞いた限りでは、そのAAMYの再現率がとても高いんじゃないかと思うの」
「おいおい、お二人さん。俺を無視しないでほしいな」
裕二が寂しそうに呟く。
「また侵入されたら、今度はただではすまないんだからね! わかってる?」
「わかってるさ、舞衣ちゃん。しかし奇妙なのは、データの抜き出しには俺達4人のパスコードが揃わないと不可能なはずだったんだ。それがいともたやすく突破されたってのが信じられない」
「脇が甘いんだよ、舐めんな!」
「ふふ… あなたも舞衣にかかったら、ただの子供のようね」
春香が笑いながら、裕二の元へと足を運んだ。
「あまり彼をいじめないであげて。これでもセキュリティ部門では名の通った人なんだから」
「今度は俺達3人の解除キーなしにデータの改竄や抜き出しはできないはずだ。俺の計算は完璧なんだから、期待していいぞ」
「…自分でフラグ立ててんじゃないの! そういう時に限って、簡単に破られるものよ」
「ちぇっ …舞衣ちゃんは厳しいなぁ…」
「そうそう、本体と言えば例の母体の保存状態のチェックは…」
アタシは春香に再び問いかけた。
「それもまだ問題ないわ。ログを見る限り、一度も破られた痕跡は見つからない。一安心ね」
「そっかぁ…」アタシは大きくため息を付いた。
アタシもまだ見たことのない、AAMYの母体。一馬は一度だけそれを見たことがあると言っていた。
◇ ◇ ◇ ◇
「ボクはね、おチビちゃん。彼女のためなら何だってするつもりだ」
「彼女…?」
ある日のキャンパス内、富野研究室での一コマだった。それはまだアタシが告る少し前、…なんとなくカマをかけた時に帰ってきた答えである。一馬は真剣で、とても遠い目をしていた。
「か、…一馬先輩。誰か好きな人でもいるとか?」
「好きな人…? 気になるの?」
「そんな訳ないじゃない、舐めんな!」
「はいはい、その通りだね。ボクが言っているのはさ。遠い昔に見た少女のことさ」
「好き… だったの?」
「好きとかそういうものではないかな? ただとても尊いもので、憧れに近いかな?」
「憧れ…」
「そう。今も彼女はこの地に眠っている。夢を見続けているんだ。ボクはそのお姫様の目を覚まさせてみたいんだ」
「なんだか少女趣味ね。意外だわ」
「なんと言ってもらっても結構。これはボクのこだわりであって、夢なんだ」
「…わからないわよ」
「わからなくて結構。これをロマンというのだよ」
そう言って一馬は気さくに笑うのだった。
玄田博士が赴任してきたのは、それからまもなくの話である。
◇ ◇ ◇ ◇
「ねえ、AAMYのコアになっている母体… 見てみたくない?」
アタシは一馬を変えたそのコアになっている少女をずっと見てみたかった。この機会を逃さずして他にあるだろうか?
「それはいいけど、単なる好奇心から見たいっていうのなら反対だわ」
「そりゃ、好奇心もあるわ。でもそれ以上にアタシたちはこのAAMYについて知らないことが多すぎる。例えば、万が一のも暴走を起こした時に、アタシたちはどう対処すればいい? 単に端末を沈黙させておしまいなら、そもそもアタシ達の存在は必要ないってことになる。核心について概念は教えられていても、ZE-AAMY自体がどういうアルゴリズムで発動するかについては全く闇の中よ。多分… だけど、これは玄田先生から与えられた課題のような気がするのよね」
「それもそうだな。いざっていう時に彼らをフォローするのが俺達の役目だっていうのなら、俺達はこのシステム自体のことを把握しておく必要がある」
裕二が同意してきた。後は、春香だ。
「最終的に彼女を蘇らせるというプランであれば、暴走させたが最後、今までの苦労が水の泡よ。今ここでこの計画の全容を知っておくことは必要だと思う。…違う、春香?」
春香は一瞬戸惑ったが、私の最後の言葉が決定打となったようだった。
「…そうね。細かく分析しておく必要はあるわ。MAI-5000… たしかに謎の部分が多すぎるもの。富野教授も多くは語ってくれていなかったし、これは私達に課せられた課題なのかもね。わかった、封印を開きましょう」
「そうこなくっちゃ!」
「でも、あくまで全容を知るためよ。好奇心だけでは目的を達成したとはいえない。そこの所は履き違えないでね」
「わかってるわよ。舐めんな!」
こうしてアタシたちは冷蔵庫の更に奥にある封印の扉の前に立ったのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
K大学には中央キャンパスの他に、人文系を集約した本キャンパスが県庁近くにある。中央キャンパスからだとバイクで20分ほどの距離だろうか、メインキャンパスだけあって、人通りも多い。その本キャンパスから少し離れたところ、歩いて5分ほどのところに、2階建ての喫茶店があった。値段の割に量が多いこの喫茶店のメニューは特に男の学生たちに人気で、昼食時間などは学生でごった返す。それゆえ、学生以外の人間が入ってくると非常に目立つのだ。幸い今は午後三時、ほどほど人はまばらで空いていた。時折俺達も利用するこの喫茶店の名前を『一刻館』という。
「そうか… 問題はEVE-00だな」
司馬は今までの経緯を聞きながら、話を振ってきた。
「それと、舞衣さんはメイさんが戦うことを非常に警戒していたと。そういうことだな」
「はい、メイの戦い方は非常に洗練された物でした。多分、舞衣姉さんでもかなり苦労するんじゃないかと。それなのに、です」
「それじゃ、俺達がメイさんを守る必要ってあまりないんじゃないか? それだけ強いんならさ」
野村がツッコミを入れる。確かにそのとおりだ。知っている限り、純粋に戦闘力だけで語るなら、俺達の中では最強かもしれない。そのメイを守ることが緊急の課題となっている。
「でもさ、戦闘をすることで負荷がかかることは確かだよ。前に舞衣さんが言ってたじゃないか。メイちゃんは感情を優先したプログラムに従って稼働してるって」
そう言えばそうだ。一成、流石に冴えている。
「もし仮にそうなんだとしたら、人間でもかなりのストレスにさらされる訳じゃん。実際、俺達が受けてる特訓でもフラフラになるってのに、精密機械で、それも実戦なら言うまでもないよ」
「ああ、いたかいたか、こんなに隅っこにいたんじゃ、わかりゃしねぇ」
階段を登ってきた村山が、ようやく見つけたと言った風にやって来た。
「小原一馬の消息がわからねぇ。いろんなソースを当たっているが、それらしい人物が少なくとも県内にはいなくなっちまってる」
「おい、そりゃどういうこった?」
村山の言葉を受けて、司馬。俺達もその言葉には驚きを隠せなかった。
「言葉のとおりだよ。姿を消しちまった」
小原一馬が失踪?
一体どういうことなんでしょうね。
まだまだお話は続きます。どうぞお楽しみに!
ではでは今日のところはここまでといたしましょう。
さよなら、さよなら、さよなら~♪




