あの日のままで-05☆
ぜんかいのおはなし~!
司馬先輩、実は努力の人だったんですね~。どうして俊樹と手合わせなんぞをしたのでしょう?
また、俊樹家の夕飯風景が出てきました。一体何人はいるんだ、この部屋?
そんな訳で、続きです、どうぞ!
◇ ◇ ◇ ◇
Illust:カミユさま
「マスター、マスター起きてください! そろそろご指定の時間です♪」
俺はメイに揺り起こされると、もそもそと起き上がった。
「痛ッ…!」
特に俺の身体が傷ついているというわけではない。全身の筋肉が悲鳴を上げているのだ。
昨夜の司馬との組手はこちらの惨敗だった。分かっていたことだが、流石に悔しい。
そこでたった一つだけではあるが… ある技を教わった。素人の生兵法は危険だぞ、とのお言葉付きで。
基本からの手順をきっちり教わってきた。後は鍛錬だ。
俺はメイに手伝ってもらいながら起き上がり、部屋の中で俗に言う空気椅子の姿勢を維持する。
「マスター、フラフラしていますが、本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。今のうちに朝飯の用意をしててくれると嬉しいな」
「…わかりました! マスター、がんばってくださいね!」
五分… 十分… ただただ辛い。しかし、これが早道だと教わった。
そういや、仕事。最近溜め込みがちになってきているな。
でも、野村や村川、一成たちが手伝ってくれているから、なんとかこなせているもんな。
有言実行、実にいいことじゃないか。少し見直したぜ。
…いかんいかん、雑念が多すぎる。
それにしても、司馬はいつもああやって訓練しているんだろうか?
あの人は本当に強かった。何本もやり合って、最後の一本を取るのでやっとだった。
それだって、かなり手を抜いてくれてたのだろう。組手は全て寸止めだった。
拳を、腕を、肘を、肩を、体当たりを。全て寸止めで稽古を付けてくれた。
俺はただただ翻弄されるばかりで、繰り出すロッドは全てかすりもしなかったのだ。
「普段からの基本、それが大事だぜ」
司馬の言葉が深く突き刺さる。そうだな、惰性で訓練していた節はあったよな。
「お前の悪い所はひとつ、相手よりも先を取りに行こうとして奇襲に頼りがちなところだ」
ふふ、違いない。思わす笑ってしまった。
「一方で、お前のいいところがひとつある。それは…」
司馬のアドバイスは多分、俺が喧嘩に明け暮れていた頃に身についたものだろう。
ピピピ… ピピピ… ピピピ…
目覚ましを兼ねたアラームが鳴った。俺は空気椅子の状態を解除した。
「ああ!?」
転んでしまった。足の筋肉… 特にハムストリングスの部分が辛い。
司馬さんいわく、
「站椿訓練法」
という。
「おはよう! あら、もう準備が進んでいるのね!」
沙耶がきたようだ。いそいそとエプロンを身に着けているような音がここまで聞こえてくる。
「ごきげんよう… あら、俊樹はもう起きているみたいですのね」
秋帆と右京・左京がやってくる。お前ら、朝もたかりにくるんだ。そうなんだ。
「おはようございます、先輩! ほらほら、お父さんも早く早く!」
「あ~、おはよう。今朝もお世話になります」
「あ、わたし、沙耶先輩のお手伝いしますね! なんでも言ってください!」
平野親子まで…。ここはアパートであって、共同合宿場ではないんだがなぁ…。
「おっはよう! 若人たちよ! 今朝も元気かね!?」
司馬たちまで…。そういや、いつもこんな感じで毎朝やって来てたのかよ。
「いい匂いがしてくるねぇ…、お、おはよう、諸君!」
舞衣姉さん、相変わらずだな。
それじゃ、そろそろ俺も今日という日の幕を開けようか?
「みんな、おはよう! ああ、お腹すいた、沙耶、今朝のご飯はなんだ?」
◇ ◇ ◇ ◇
平野父娘がアパートを出ると、俺達は訓練を始めた。
壱・弐・参!
壱・弐・参!
俺と一成は舞衣姉さんの目の前で型を学んでいた。ロッドを有効に使う戦い方、無手での格闘、実戦、エトセトラ。
壱・弐・参!
壱・弐・参!
もう随分扱いにもなれたものだ。ロッドの持ち替えからの突きや振り抜いた後からの返し技。その他諸々…。組手においても、今ではすぐに息が上がらなくなっていた。これは普段からの訓練が活きているのだろう。
「よ~し、やめッ!」
「サー・イエッサー!」
では、おさらいしておきましょうか。まずは一成くん!
「はい!」
舞衣姉さんと一成が向かい合う。
「セイ…ッ!」
仕掛けたのは一成の方だった。正面からの二段突き…から、左回転しての振り抜き。舞衣姉さんはそれらを全て避けると、腰へのタックルを試みた。
「来ると思った!」
一成は回転を止めず後ろ足蹴りを放つ。それを転がって避けると、舞衣姉さんは蹴りで一成の軸足を獲りにくる。
「うわッ!?」
一成は不安定に後ろへと飛び退る。その隙を舞衣姉さんは見逃さなかった。そのまま蹴り出した足を軸に移し、肩からの当身! それをマトモに食らった一成は哀れにもドウ… と倒れ込んだ。
「一本… だね」
ニカッと笑う舞衣姉さん。
「次は、俊樹くんか。おいで」
「行きます!」
俺は位置につくと、無意識にロッドを逆手に持ち変える。
そのまま飛びかかり、拳の一撃を放った!当然、ロッドを逆手に持っている分のリーチは大きい。
「甘い!」
舞衣姉さんはスッと避けてしまった。しかし、俺はその拳を振り抜かず、拳を戻した勢いのまま後ろ回し蹴りにチェンジ。更に避けられると、軸足を移してそのまま体を下げ、肩からのタックルをかける。
その攻撃もあっさりと避けられる。俺は受け身を取って構えなおした。
「まるで自爆技だねぇ。そんなことじゃ、次の手は打てないゾッと!」
舞衣姉さんの蹴りが連続で飛んでくる。俺は左右の腕で払いつつ、その時を待った。
ここで説明をなさねばなるまい。
通常人を相手にしていれば、電磁ロッドに触れた時点でこちらの勝ちだ。
しかし、この訓練にはもうひとつの目的がある。
対アンドロイド戦だ。電磁ロッドのパルス攻撃は、普通に接触しただけではアンドロイドの表層を流れるだけなので大きなダメージを与えられない。故に、確実な一撃を加える必要があるのだ。
そして… 今!
俺は体を下げ、右足を前に大きく踏み込んで、中段からの拳を繰り出す!
間合いは一気に詰まり、俺の拳は舞衣姉さんの脇腹で寸止める…。
「ふう…ん。俊樹クン、今のは?」
「半歩崩拳と言うんだそうです。司馬さんに習ったばかりですが、なかなか有効な手みたいですね」
「だが、まだまだのようだね」
舞衣姉さんが俺の額をツン、と押した。俺はあっけなく倒れてしまった。
「体幹が成っていないのだよ。生兵法は駄目だって言われなかった?」
「…あはは、言われました。でも、早速使ってみたかったんです」
「俊樹クン。そんなんじゃキミ、いまに大怪我をするよ。司馬くんがヨシと言うまで封印するんだね」
「わかりました」
「じゃ、今日の訓練はおしまい! おつかれさま~!」
こうして、俺達はそれぞれの予定をこなすべく出かけるのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
なんだか俊樹くんも真面目に特訓しているみたいですね~。
今のところ日常回ですゆえ、大きなアクションやら陰謀やらは出てこないんじゃないかな~????
そのほうが安心して読めますでしょ? いかがですか?
では、そろそろお時間ですね、
さよなら、さよなら、さよなら~♪




