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Machine Smith  作者: 真田 貴弘
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 「させぬ! 消させぬ! 我らが希望を消し去られてなるものか!」


 フェリシア教皇は近くに居た奴――”二ノ宮 勉(にのみや つとむ)”に向かって凡そ老人とは思えない速さで走りだし抱き付く。


「しまっ!?」


 ボンッ!


 二ノ宮の右ポケットが小さく破裂し煙を上げる。


「クッ! 送還装置が誤作動で壊れてしもうた!」


 此処で更に周りの人間――アシャール教の信者達が立ち直り、妖精女王ロミナに殺到する。


「馬鹿者! お前達、早くフェリシア教皇と勇者を保護せぬか」


「今がチャンスだ! 邪悪なる妖精族の女王を討ち取れ!」


「!? 他国に遅れを取るな! 行け行け!」


 鎧騎士達や各国の歴々の護衛達が主の命によりロミナを討ち取らんと襲いかかる。


 だが、心なしかその動きは僅かに鈍い。 そりゃそうか。 この広い大広間でも入り切らない程の寿司詰め状態で大勢の人間が入っていたのだ。 それなのにそこかしこから人が大勢動き出したら人とぶつかり合って動きが阻害されるに決まっている。


 俺は知らない事だが重鎮の護衛騎士は保安上の都合、このアシャール教の装本山――教皇庁の中では武器の所持は禁じられており一時的に取り上げられている。 故に殆どの者は素手なのだが、中には懐に忍ばせておいた暗器や隠し持っていた術具の類を手に持ってロミナに襲いかかろうとしていた。


(って、黙って見ている訳にもいかないか!)


 俺は強化外骨格で軽く跳躍。 ロミナに襲いかかろとした男を頭上から押し潰した。


「ぐぎゃっ!?」


 男はカエルが潰された時の鳴き声を上げ、哀れそのまま気を失い床と抱擁を交わす羽目となった。 

 ちゃんと加減して飛び乗ったが、恐らく骨の一、二本は折れてるだろう。


 俺の周囲にいる他の男達は見たこともない得体の知れないものである俺と距離を取り、強化外骨格を纏った俺をどう相手取ればよいか逡巡している様だ。 


 にしても、こんなんきりないぞ! どうすんだよ!


 俺はロミナに向かってこの状況をどう切り抜けるのか怒鳴りつけて訪ねようとした刹那、俺の頭上――強化外骨格の真上に影がさした。


 それはふわりと俺の頭上に着地し、次いで強化外骨格にしがみついた。


 ロミナだ。


「儂が指示するからその通り逃げるのじゃ! 先ずはあの扉から外に出るのじゃ!」


『わかった!』


 俺は再び跳躍し周囲を取り囲んだ男達から逃れ、大扉に立ち塞がる兵士を強化外骨格のマニピュレータで薙ぎ倒し大広間の扉を粉砕して外に飛び出した。


✦


 「ふう! お主の御陰で何とか逃げ切れたな! 礼を言うぞ! ……しかし、おかしいのう。 何故お主には送還装置が働かなかったのじゃろう?」


『送還装置?』


「ほれ、お主のそこの隙間の中に儂が忍び込ませた装置じゃ。 絡繰の神ジルが作った異世界より来訪した者を元の世界に帰す絡繰じゃな」


 あ、強化外骨格の脇腹の隙間にSDカードの様な物が刺さってる。 何時の間に。


 俺は人の手の二倍はあるマニュピレータを使って強化外骨格の脇腹に刺さっていた送還装置を取引っこ抜く。


「よほど強力な結界なり呪いなり受けておらん限り作動するはずなんじゃが。 お主、何か心当たりないかのう」


 ああ、多分あれだな。 オーグ様が俺に掛けた異世界へ渡る事を封じた理術(フォース)。 その影響だろう。


 いつまでも強化外骨格ごしっていうのもあれなので強化外骨格の胴体の前部を開きロミナに姿を晒す。


「そりゃあ、俺にはオーグ様による異世界移動を封印する理術が掛けられているから。 オーグ様以上の力が無いと封印は解けないよ」


「はへっ? なななな!? マッ、マサキ殿!?」


 一瞬ロミナは呆け、次いで驚きに満ちた表情で俺の名を叫んだ。


「何故このような場所に居られるのじゃ!?」


「それは俺が聞きたいよ。 家に辿り着いた途端、行き成り地面が光ったと思ったらいつの間にかあの場所にいて変な連中に取り囲まれてたんだから」


「あの召喚魔法陣は神殺しを成せる者をこの世界、異世界問わず召喚しうるもの。 邪神アシャールがオーグを倒し自身がこの星を支配すべく戦力という駒を手に入れるために用意していたのじゃ」


「それって諸刃の剣じゃない? だって邪神アシャールも一応”神”なんだから。 裏切られたら大変だよ?」


「あやつのことじゃ。 召喚した初期の時点で召喚者を無理矢理支配して用無しになれば始末するつもりだったのじゃろう」


 そう言うとロミナは右手を前に翳し、翳した前の空間が歪む。 歪みはやがて渦となりその渦から扉が現れた。


「こんな所で話し込むのもなんじゃ。 儂の城にてゆっくり話そう。 付いて来てくれ」


 現れた扉を開けロミナは中に入る。


 俺は誘われるままロミナに続いて扉を潜った。 


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