地守の呟き
それまで集まっていた高ランクの探索者達が全て立ち去った大阪城ダンジョン前で地守は一人呟いていた。
「くそっ!探索者風情がっ!俺を誰だと思っていやがる!民事党の権田議員とも太いパイプがあるんだぞ!」
そう呟いた地守は突然ふいに気づく。
「そうだ!権田議員だ!あの人に言えば何とかしてくれるはず。何、アイドル探索者の一人か二人あてがっとけば問題ない。くけけけけけ、探索者連中め、わがままを言えるのも今のうちだ!くけけけけけけけけ。」
地守は奇声を上げながら懐からスマホを取り出した。
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大阪府内の某所
シャワー浴びてサッパリしたのか、バスローブ姿の小太りの中年がスマホを片手に何やら話し込んでいた。
「ふむ、君の言うことももっともだ。ダンジョン探索を放棄するとは探索者の風上にも置けぬ。わかった、この権田にまかせたまえ、わっはははははははは。」
権田は大きな声で笑うとスマホを切る。しかし、次の瞬間、長いため息を吐きスマホを強く握りしめる。
「地守の無能がっ!何のために探索者協会に入り込ませたと思っている!」
強く握りしめられたスマホのフレームから壊れて潰れそうな悲鳴が上がる。
あわやスマホが壊れるかといった刹那、ドアがノックする音が聞こえた。
「……入りたまえ。」
「失礼します。」
そう言って入ってきたのは、権田議員の秘書である摺坂 追人。
狐顔で痩せ型なこの男は手揉みしながら笑みを浮かべているが、目つきは鋭く何やら企んでいる様にも見える。
「権田議員、何やら機嫌が悪い様子。今日の子に何か問題でも?」
「今日の子?ああ、問題はなかったがそろそろ飽きてきたな。」
「なるほど、それならば例の子を……と行きたいところですがなにぶんガードが硬くて難航しております。」
「ふん、この権田の寵愛を受けると言うのに生意気な……待てよ、あれは探索者兼アイドルだったな、ならば奴が使えるか、摺坂!地守のやつと連絡をしろ。」
「地守ですか……なるほど、探索者協会の方から手を回すのですね。可能ですか?」
「何、奴から今、ダンジョン探索をしない探索者について陳情があったのでな。」
「陳情、と言うことは暫定法ですか?」
権田は大きくうなづくといやらしく笑った。
「お前は話が早くて助かる。今、名ばかりのダンジョン探索者の問題が上がっているからな。それを利用すれば、許可取り消しといかなくても一時停止ぐらいの権限を持たせることができるだろう。」
「なるほど、流石の慧眼、恐れ入ります。」
摺坂はそう言うと軽く頭を下げた。それに気を良くしたのか権田は先ほどよりもさらに大きな声で笑った。
「ぐははははははは、あの小娘を這いつくばらせることができると思うと楽しみで仕方がないわい。」




