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第12話 天才魔女、始まりの夢をみる
夢だ
これは夢だ
幼い子供の手、私の手。
平和な村、何気ない日常。
時折くる商隊と、一緒にくる少年。
私と似た黒がかった青い髪。
深海を思わせる濃い青い瞳。
日常の壊れたあの日。
1人ではなかったのはあの子が、シオンがいたから。
場面が変わる。
焦げた匂いと錆びた鉄の匂い。
悲鳴が耳にこびりついて離れなかった。
気づいたら何もかもが壊れていて、手遅れで。
大きな空飛ぶトカゲが魔竜と呼ぶことを知らない無知なあの頃。
壊れた家の残骸に、身体を預けていた。
動けなかった。
立ち上がる理由も、もうなかった。
ただ、終わるのを待っていた。
「るーな! ルーナ!」
声。
近い。
さっきまで遠かったはずの声が、少しずつ距離を詰めてくる。
はっきりしない意識の中、あの青い瞳だけがはっきり見えた。
「ルーナ!!」
喜色と焦り、驚きの混じった声。
こちらに伸ばされた手を、私は。
迷いなく掴んだ。




