第二十章 チョコレートボンボン
「あのさ…。」
シャーペンをカチカチと鳴らしながらミコに声をかける。
「部屋からさ…出たいんだけd
「だめ。」
そう、あたしはウィンクル事件以来部屋に軟禁…というかほぼ監禁されている。とりあえず一か月は謹慎処分だそうだ。まぁ、外国のお貴族様を襲っといてこれだけですむだけラッキーだろう。ヒメユリちゃんとミコが本当に頑張ってくれたかまたは…それはないか。とりあえず、処分が一か月の監禁だけっていうのは喜ぶべきなのだ。喜ぶべきなんだけど…学校にすら行かせてもらえないというのはいかがなものか。毎日ミコと自習だ。ノートはどこから手に入れたのかヒメユリちゃんが誰かのノートのコピーを持ってきてくれるが…ノートだけであたしが理解できるわけがない。自慢じゃないが、あたしはバカなのだ。
「学校だけでも…ダメ?」
ミコの目を盗んで脱走を一度試みたのだが、部屋の外にはメギとユリと神殿の騎士がずらっといてすぐに囲まれた。あんな人数さすがにあたしでも無理だし、おそらく電気対策がされていることだろう。ちなみにあたしが逃げ出したと気付いた時のミコの顔は本当に怖かった。
「だめ。」
「…ほらさ、街にでて一緒にプリンでも食べない?」
「ぷりん…。」
おっ!?
「……だめ。」
ミコは煩悩を振り払うように思いっきし首を横にふった。
「…ヒメユリちゃんになんか言われてるでしょ。」
ミコがプリンにつられないなんて…。
「……。」
ミコは壊れた人形のように首をただただ横にふっている。
「いや、絶対にいわれてるな。」
ミコがここまで頑ななのは初めてだ。って、ことはヒメユリちゃんになにか吹き込まれてるとしか思えない。
「……プリン三個。」
「……。」
まだ首はとまらない。
「プリン十個。」
これでダメだったらダメだ。
「…一緒にくらせなくなる、って。」
「……?」
「もし、あの人を殺したらプミラも殺されるから…って。」
…なるほど。そういうことか。
あの人ってのはまぁ、ウィンクルのことだろう。ウィンクルはメギの要人だ。そんな人間をユリで殺されたとなれば、ユリとメギの関係は悪化。殺した人間を死刑にするしかなくなる。あたしは部屋から出たらほぼ確実にあいつのところに行く。そして、恐らく殺す。だから、あたしを殺されたくなきゃ部屋からだすなってヒメユリちゃんは言ったのだろう。
「あと…
「あと?」
「ううん。それだけ。」
最初はなぜあたしに対して甘いミコがあたしの見張り役…?と、不思議だったが、その甘さというかなんというか…感情を逆に利用したのだろう。それにミコは神子と呼ばれるだけあってほぼ最強の能力(?)者のようだし、あたしをここに縛り付ける確固たる理由がある。うーん、適任だ…。ミコを味方につけるのは難しそうだな…。
…そうだ。ものは試しに。
「…ねぇねぇ、ちょっとウコギのチョコレートボンボン持ってきてくんない?」




