第十二章 突風とともに去りぬ
「…神よ。力を…。」
ん?ん?んんん?どういうことだ?コイツは何をしようとしている?
「ミコ…?ちょっと?」
突然、突風…いや、突風ではなく竜巻レベルの強風が吹いた。
「ぎゃああああ!!!!!」
バリンッ
ミコとあたしを隔てていたガラスが粉々に砕け散る。破片とかはなく、見事に砂になった。
「…これで、悲しくない。」
ミコがあたしの腕をひっぱりぎゅうっとあたしを腕の中に閉じ込める。ミコのその幼い抱擁はまるで迷子になっていた子供が母親を見つけた時にする抱擁のようであった。
「そうかそうか…。」
抱擁は可愛らしいが、周りの景色が可愛らしくない。ちょうどここが、竜巻の目(?)の部分のようで風はふいいていない。だが、周りに触れたら切れそうな風がふいいているというのはなんとも居心地が悪い。
「えっと、ミコ…
「…お願いいたします…。」
や、ヤバイ…体が浮いた…!!!
「いくよ。」
どこに!!!?
そう尋ねる前に、あたしの体は天井を突き抜けて大神殿のはるか上空にいた。ちなみに、さっきまであたしがいたところであろう場所の屋根は完全に破壊されている。
「…ひええええええええ!!!!」
高いところはなれてるし、苦手でもない。でも、風だけでここまでの高さに飛ぶことなんてほぼない。怖い!怖すぎる!!!
「だいじょうぶ。」
いや、だいじょばないって!!!
…と、思ったが、風は思いのほかスピーディーかつ優しく地上…いや、ミコの部屋のバルコニーにおろしてくれた。
「よっと。」
「…ありがとうございました。」
ミコはどこかに向かって頭をさげると、こちらに向き直った。
「…あのね、プリン…いっしょに食べよう?」
ああ。…いやまて。
「……そのまえに!!あたしはあんたにいっときたいことがある!!!」
忘れるところだった。
「ミコ、たぶんもう大丈夫だと思うけど…これからは大神官さま…とか、神殿の言いなりになるな!!そして、あたしのいいなりにもなるな!!自分で考えるんだ!」
あたしもそこまで心は広くない。また、こんなことがあればあたしはきっとミコを嫌いになる。そんなのは嫌なのだ。そして、あたしはミコにあたしの言いなりにもなってほしくない。ミコの王様はミコであってほしいのだ。あたしの王様があたしであるように。
「わかった。」
「自分で決められるように、あたしも勉強という形であんたをなるべくサポートするからさ。」
「うん。」
よしよし。
「じゃ、プリン食べよっか。」
「うん。」
「…というか、このプリンどうやって保存してたの?」
「神の力をかりて、そこらへんを涼しくしてもらって…そこにおいといた。」
へぇ…。
「あんたの能力って…便利だね。」
「…僕の能力じゃなくて、神の力…。」
…わからん。
…そういえば、随分アグレッシブな脱獄をしてしまったが大丈夫なのだろうか。




