第十章 とどかぬ思い
「…ということで、来月までには絶対に出られるようにしますから。待っていてください。」
牢の前にたち、私に向かってなにやら話していたヒメユリちゃんはここであたしを心配そうにみやった。
「…本当にごめんなさい。神子に勉強を、なんて私がいわなければ…。」
いいや、全部…あたしが…あたしの独りよがりがいけなかったんだ…。
「……そろそろ、学校の時間なので。失礼します。」
しばらく黙り込んでいたヒメユリちゃんは、そう言い残すとどこかに行ってしまった。
全て白で揃えられた神殿の牢は罪人が暮らすにはあまりにもきれいすぎる。そして、無機質だ。その白という色と、無機質さがミコを思い出させて辛くなる。
「はあ…。」
* * * *
「……なんだあれ。」
牢屋生活十日目。牢の窓近くになにやら紙が刺さっているのを発見した。
「っしょっと。」
ジャンプしてとってみる。
どうやら手紙らしい。宛名のところには…ばかぷみら…バカプミラだって!!?失礼な!!!誰だよ!!送ったの!!…差出人の部分には誰の名も書いていない。ちっ、あとで絶対に誰が書いたか割り出してやる。とりあえず、あたし宛のようだし内容をみてみよう。
「…いっしょうろうやにひきこもってろ!にどとでてくんな……ふざけんな!!!!」
本当に誰だよ!!!こんな手紙書いたの!!!お前こそ牢屋に入れられてしまえ!!!絶対に許さない!!
復讐するためには…まず、牢屋からでなきゃなんないな。たぶん、あの窓のところから出られる。普通の人間には届かないと思っているのだろうが…残念!プミラ様には届くんだな。だが、問題はそのあとだ。あの窓のガラスは恐らくかなり硬いだろう。さっきふれた感じがそうだった。うーん…あ、そういえばこの爪…ゴテゴテと飾り付けられた長い爪はそのままだ。
「ふふん…!」
実はこれも武器なんだな。暗殺の定番みたく、毒が塗ってあるんじゃなくて、電流が流れている。この付け爪をすべて外せばそれなりの電力になるだろう。
パチッ…パチッ…パチッ…
武器なのでちゃんと綺麗に手早く外せる。
「おっし。」
全部外れた。これをまとめて窓に…!!!!
「バチバチしちゃいな!!!!」
ガシャンッ
……付け爪はなんの電力も発さずに、ただ跳ね返ってきた。
「無駄ですよ。」
誰だ!!?
うしろを振り返ると、そこには神官服を着たかなり小柄なものがいた。顔はお面に隠れてよくみえない。
「ここは魔力封じの石が壁にも窓にも使用されているのです。」
へー。どうりで能力が使えないわけだ。…というか、この声…なんだか聞いたことがあるような…?
「で、なに?あんたはここになにをしにきたわけ?」
脱走しようとして失敗してるところを嘲りにでもきたの?
「いいえ、
ぱた ぱた ぱた ぱた
どこからか足音が響く。
「…失礼します。」
面をつけた小柄なものは慌ててどこかへと行ってしまった。
あいつ、いったいなんだったんだ…?あと、この足音は…?




