第九章 悲劇の誕生
「よっ!ミコ!」
今日は算数と国語と社会だ!
「・・・・・・・・・。」
「今日もプリン持ってきたよ!」
「・・・・・・・・・。」
もともとあまりしゃべらないやつだが、今日は一段としゃべらないな・・・・。どうしたんだ?
「しかもね、奮発して10個!!!」
あたしの分とミコの分×9。お徳用で安く売ってたから買ってきちゃった。冷蔵庫は・・・・なさそうだから、あたしの部屋にもって帰ろうかな。
「・・・・・・・・・・・。」
まだだんまりか・・・。
「・・・・・ねぇ、ミコ。どうしたのあんた。なんかおかしいよ?」
「・・・・・・・・。」
どうして、なぜ、しゃべらない?
「ミコ?」
ミコの肩を掴む。
「そこまでです。」
え?
あたしとミコの間にはいつのまにか、神官服をきた冷たい瞳の女がいた。
「神子さま。神子さまのお部屋に毎夜やってくる不埒な輩はこいつで間違いありませんね。」
「・・・・・・・・。」
ミコは無言で首を縦に振る。
「ミコ?」
「彼を電撃で傷つけたのもこの女で間違いありませんね?」
女がさした先には例の能面男がいた。
「・・・・・・・・・。」
やはり、ミコは首を縦に振る。
「まて、たしかにあたしはミコの部屋に毎日来てた!それは認めるよ!でも、あいつに関しては正当防衛だ!あいつが先に能力を使おうとしたからあたしが先に攻撃したまでだ!!」
そもそも、少しの間動けない程度で外にも内にも傷はつけていない!
「ミコ、そうだよね?」
「・・・・・・・・・・・。」
ミコはなにもいわない。ただ、あの女を見つめている。
「・・・・部屋に来てたってのも、あんたらがミコに勉強させないからだ。ミコには勉強をする権利がある!!」
「・・・・・あなたは本当にその権利を行使したいのですか?ミコさま。」
「違いますよね?」
「・・・・・・・・。」
ミコは首を縦に振る。
「そんな・・・・あたしの独りよがりだったっていうのか・・・・!?」
「そうですよ。」
「ですよね?ミコさま。」
ミコはやはり首を縦にふる。
「ミコ・・・!!だったら、なんで・・・なんで・・・もっとはやくいってくれなかったんだ・・・!!」
「・・・・・ごめんね。」
ミコが今日初めて発した言葉は私の心をズタズタに引き裂く。
あたしがしてきたことは・・・・いったい・・・いったい・・・・。
「行きますよ。」
女に強引に掴まれた腕から、袋が滑り落ちて十個のプリンがばらばらと床に転がり落ちる。
「・・・・・・・・・。」
あたしの心はただひたすらにボロボロで・・・涙すらでなかった。




