第三十七話『名探偵』
「お、さすがだね〜!じゃぁ、聞いてみようかね!タカシくんの考えを!」
と、ヒカルは、メガネをキラーンと押し上げて笑った。
「うん、僕は、『どれも得意じゃない』!」
と笑った。
そう、リオンとの組手も、ニコとの剣術も、ヒカルとの投擲訓練も『大したこと』なかった!!
しかし、それが重要だったのだ。
ヒカルはわかっていて、やらせたのだ!
「えっ!なにそれ!!」
とニコは笑った。
堂々と『得意じゃない!』じゃないわよ!
もっと頑張りなさいよ!と微笑んでいた。
ニコならそう言うと思っていた。
「やってみてよく分かったよ!一朝一夕では、皆に追いつけない。ヒカルはそれを教えるために今回の訓練をやってくれたんじゃないの?」
「ふふふ、さすがタカシくん!理解が早いわね!」
と、ヒカルがにこにこ微笑んでいる。
やはり正しかったらしい。
そう、一朝一夕で身につく技術ではないことは
毎日これだけの訓練をしている彼女達ならわかるはずだ。
でもわざわざやらせたということには意味がある!
「ただ、それだけじゃないよね?」
と僕がヒカルに更に聞く。
そう出来ないことを知らせるためだけに、ヒカルがこんなことをやらせるとは思えない。
しっかりと理由がある。
次のステップに進むために必要だったのだ。
そう、ここからが本題だ。
まるで、名探偵の気分。
犯人をじわじわ追い詰める名探偵だ。
「ふむふむ、聞かせてもらおうかね〜。タカシくんの推理を!」
とヒカルは、僕に言った。
そう、ヒカルが、この個別訓練をわざわざ時間をとってやらせた理由に僕が迫っていた。
「練習した『職業のスキル』を覚えやすくなるんじゃないの?」
と、僕は言った。
すこし、にやっと笑っていたことだろう。
探偵における、犯人はお前だ!!
ぐらい盛り上がるところだ!
ばばーん!!
「凄い!そこまでわかるなんて!」
とヒカルが言う。
言い当てられたヒカルはまるで追い詰められた犯人のように自供を始めた。
「そう、タカシくんが凄いのは、スキルの特性を見ぬくこと・・・それが、ほかの人とは、桁違い。そして、実際今もスキル獲得の仕組みを見ぬいた」
とヒカルは言う。
そう、ヒカルは最初から、体力以外の部分を評価していたのだ。
「そうだったのね!」
とニコが言う。
「うん、タカシは頭がいい」
リオンも小さく頷いた。
「体力はないけどね!」
と、ニコは笑った。
これだけ、美少女達に褒められると、もちろん悪い気はしなかった。そして、もう一つ付け加えた。
「となると、次にやるのは、モンスター討伐だよね?」
と僕が言う。
僕は、今までのことから、次にやるべき事も推理していた。
今までの、特訓はこれのための下準備なのではないかと。
僕は思っていたのだ。
ヒカルは、なにも言わずに、メガネを上げキラーンと光らせて笑った。
どうやら正解のようだ。




