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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第16章 終焉編
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65 終焉回帰

ここで一段落です。

「紗耶香ちゃん!!!」

加奈は竜牙の太刀ドラゴンファング・ソードが敵の頭部眼球に突き刺さり同時に放たれた分解消去光線(ディスインテグレード)が紗耶香を包み込み消し去った光景を目のあたりにして絶叫した。

敵の枝分かれした脚も全て力を失い垂れ落ちていき本体も竜牙の太刀ドラゴンファング・ソードを握ったままの竜の鎧(ドラグーン・アーマー)02に押し倒されていった。

しかし主を失った竜の鎧(ドラグーン・アーマー)02も動く事はなくその重なり合う姿は死闘に決着がついた事を示していた。

「紗耶香ちゃん!紗耶香ちゃん!紗耶香ちゃん!」

加奈は竜の鎧(ドラグーン・アーマー)03の胸部装甲を開いて肉眼で紗耶香を探す。

竜の鎧(ドラグーン・アーマー)02の機体を03を使って敵から引き剥がし血眼になって探し回った。

しかしその姿は見つからず地に落ち突き刺さった等身大の竜牙の小刀ドラゴンファング・ショートソードのみがそこに紗耶香がいた痕跡を留めていた。

「そんな!そんな!そんな!一緒に元の世界に帰るって約束したのに!絶対に死なないって言っていたのに!こんなの駄目よ!絶対に駄目!!」

加奈は滂沱の涙を流し絶叫し続ける。

やがてその身体が淡い燐光を放ち始めた。

「あッ・・・、これは・・・」

「送還魔法が発動しようとしているんだ」

竜の鎧(ドラグーン・アーマー)02の背嚢から自力で抜け出てきたシオンが答えた。

「世界の危機は去った。勇者によってこの世界は救われた。だから元の世界に帰る道が開かれた。カナ、君は帰れるんだよ」

「駄目!私は紗耶香ちゃんを探す、紗耶香ちゃんがいなきゃ絶対に駄目!」

「サヤカは死んだ。それはカナも目の前で見ていただろう」

「だって、だって、約束したのに、絶対だって言っていたのに!」

「どんなに喚いてもどんなに嘆いても事実は変わらない。ユウキとサヤカが命を賭して切り開いた道だ。カナが進まなければその全てが無駄になる」

「駄目・・・、紗耶香ちゃんがいなくちゃ・・・」

「・・・なら恐ろしく分の悪い賭けだが以前カナに話したもう一つの選択肢がある」

「もう一つの選択肢・・・」

「前に話しただろう。世界を危機から救い送還魔法が発動する状況になって始めて可能になる裏技だ。勇者召喚魔法はこちらのどの時代であっても異世界の任意の時代から勇者を召喚している。送還魔法は召喚した時点の時と場所に勇者を送り返している。送還魔法に干渉してキャンセル出来る事を知ったユウキが帰還の時空間座標を弄ってこの世界の過去に繋げる方法を考えた。世界を救う際あまりにも犠牲が過大で許容出来ない場合の最後の手段として過去に戻ってやり直すためにね」

「やり直す・・・」

「そう、でもカナを過去の私達の元に送ったとしても現状よりよい結果が得られる可能性は低い。幸い現代のこの世界の魔法文明では再現出来ない巨大な魔結晶を創造した超古代文明があった事が分かっている。年代は割れたし魔結晶自体を指標に使う事も出来る。そこで知識を得て持ち返り過去のユウキに伝える事が出来れば過去を改変する事が出来るだろう。ただし過去への影響を最小限に留めるためにカナには肉体を捨て精神だけの状態で行ってもらう事になるし百万年という永の年月を無事やり過ごし私達の元に辿り着ける保証もない。知識を得て私達が出会ったセラスの廃城に辿り着きそこに存在しているカナの精神体と融合して私達と出会えば肉体を再生する事は可能だろうが肉体を得れば元々の精神体と二重写しになる上それまでに得た厖大な知識に精神が耐えきれず押し潰される危険性もある」

「・・・それでも紗耶香ちゃんを助ける事が出来るのよね」

「ユウキが新たな知識を得れば敵母船の破壊時に生き延びる事が出来るだろう。ユウキがいれば決してサヤカを死なせはしない」

「そう・・・、そうよね。勇気さんならきっと・・・」

「もちろん過去の改変が成功する可能性は恐ろしく低いだろう。カナはこんな無謀な賭けをせずこのまま元の世界に帰ってもいいんだよ。ここでの事を全て忘れ元の世界に戻って普通の人生を送る事だって出来る。サヤカを喪った苦しみも悲しみもいずれは時が癒してくれる。人は自分の幸せを望んでもいいんだ」

「・・・紗耶香ちゃんがいない世界に私の幸せなんてない。私行きます。たとえどんなに僅かであっても紗耶香ちゃんを助けられる可能性があるのなら」

加奈は顔を上げた。

その目には強い光があった。

さて帳尻がうまく合えばいいのですが。

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