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キドアイラク  作者: 虚虎 冬
水色の世界
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8/26

女の子は人魚に会って

 魚に言われた通り、

 女の子は貝殻の道を

 また歩き始めました。


 女の子は大きな広場に出ました。

 水色のコスモスが、

 広場を囲うように咲き誇っています。

 真中には閉じられた貝殻があり、

 脇に人魚がいました。

 人魚の鱗はしずくのように、

 とても綺麗な虹色でした。

「あなたが迷子かしら」

 川のせせらぎの様な、

 優しく涼やかな声です。

「ちがう世界から来た、

 感情も記憶もない迷い子。

 可哀そう、哀しそう」

「わたしに『哀しい』はないよ」

「あなたじゃなくて、

 あなたの家族が哀しそう」

 そう人魚から言われても、

 女の子には記憶がありません。

 家族を思い出せません。


 人魚は話し続けます。

「ここは水色の世界、

 哀しみと涙がつまった世界」

 いつの間にか、人魚のとなりにあった、

 二枚貝が開いていました。

 中には青い宝石がありました。

「これはあなたの父が守った、

 あなたの『哀しみ』のカタマリ」

 人魚は女の子に宝石(かなしみ)を渡しました。

 それは女の子の中に溶けていきます。

「あれ……」

 女の子の目から突然、

 涙が溢れました。

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