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黎明の翼 -龍騎士達のアルカディア-  作者: 八束ノ大和
第六章 帝国編

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第108話 旅立・再 

 翌日、アルクス達はクリオからの王国と連邦の違いに関しての質問に答えながら、数年振りのメルドゥースを見て周った。


アルクス達が驚いたのは以前アルクスが雷吼狼牙の面々に作った帝国風の揚げ物料理を扱っている店が増え、街中には屋台なども出ていたことだった。


「おぉ、アルクス君じゃないか!アリシア達もいるのか、久しぶりだなぁ。

 どうだい、驚いただろ?あの後、揚げ物を店でも出すようにしてみたら結構好評で色々とアレンジを加えていったらメルドゥースのちょっとした名物になってね。これ目当てでわざわざここまで来る人もいるくらいになったんだよ。いやー、本当にアルクス君のおかげだよ。ちょうどいい、出来立てがあるから食べてって!」


屋台を見ていたら突然宿屋の親父さんが現れ、アルクスが返事をする間もなく串揚げを持ってくると4人に渡してくれた。


「そういえばあの人達は今頃どうしているんだろうなぁ。メルドゥース名物料理となった今、もう一度食べてもらって感想をいただきたいものだ。」

「雷吼狼牙の皆さんでしたら帝国と連邦の間にあるアウレアンで会いましたよ。

 皆さん元気でしたよ。」

「もしまた会うことがあったらよろしく伝えておいてくれよ。それでまたメルドゥースに来て欲しいともね。」


アルクスが親父さんと話している間、バルトロが何本も串揚げを食べていたが、クリオは串揚げを持ちながら悩んでいた。


「どうしたの、食べないの?」

「帝国料理って油が多くて結構苦手なの…」

「でもこれそんなに油っぽくないよ?帝国で食べたのよりも全然あっさりしている。」

「ほんとに?じゃあちょっと食べてみる。あ、ほんとだ。しつこくない。」


クリオの反応を見て、アルクスとの話も一段落した親父さんがニコニコとしながら近づいてきた。


「おっ、お嬢さん気づいたかい?うちのレシピは色々と改良を加えていてね。

 最初に雷吼狼牙の皆さん出していた時はもう少ししつこかったんだけど、我々王国の人間が食べるにはもう少し油っぽさを抑えないとと思って油を変えたり色々挑戦してみたんだよ。」

「改良…すごいわ、私達の国ではずっと同じものを食べているけど、変えていってもいいのよね。」

「アルクス君のお友達なら遠慮はいらないよ、いっぱい食べていっておくれ!」


そうしてアルクス達はすっかり変わったメルドゥースの街を散策しながら、方々で様々な名物を提供されて満腹になって帰ってきた。


その夜、アルクス達はこれからの道程に関して話し合った。


「とりあえず帝国に向かう前に当初の予定通り王都に向かって、戦争の跡地を見にいこうと思う。

 帝国に行く前に帝国が何をしようとしているのかを少しでも知れたらって思うからね。

 その後は港町まで戻ってから船で帝国に渡ろう。」

「早くスペルビアに会いたい…」

「スペルビアも頑張っているだろうし、私達ももっと強くなっておかないと!

 兄さんも久しぶりに会って圧倒的に成長しているところを見せつけるくらいじゃないと!」

「おぉ、確かにそうだな。龍玉の使い方も会得していないし、早く使いこなせるようにならないとだな。」


アルクス達は改めてこれからの方針を固めると、残りの滞在時間で今までの旅で学び会得した情報をメルドゥースに残しておこうという話になった。


そして数日の間にアルクスは連邦や帝国の料理のレシピを作成して、王国でどう改良すべきかを料理屋の親父さん達と話し合ったりした。

クリオは森に入るとアルフグラーティとの違いを把握して、孤児院の面々に良い採集ポイントを伝えたり、獣避けに役立つ方法などを伝授していた。

アリシアはメルティウム叔父さんと今後商会が他国へ展開する上でどの領域や地域を狙うべきかということを連日話し合い、バルトロはスペルビアに負けまいと孤児院の子ども達を鍛えつつ、自身も修行を行っていた。


あっという間に旅立ちの日がやってきた。

料理屋の親父さんが大量の弁当を用意してくれた。


「アルクス君、これ持っていってくれ。新作を色々と作ってみたんだ。

 確か保存がきく収納ができるんだよな?実は王都にも支店を準備中だから、もしよければ顔を出して感想を伝えてくれると助かるよ!」

「わかりました、必ず!」

「私からはこれだ。」


親父さんに引き続きメルティウム叔父さんからも大量の荷物が持ち込まれた。


「詳しくはアリシアに聞いてくれ。上手くいったら今後の商会の発展に役立つかも知れないが、失敗しても困るわけではないしな。次は帝国に向かうんだったか。」

「はい、今回もまずは王都へ向かって、その後に船で帝国に向かう予定です。」

「前の旅立ちからもう2年くらい経つのか。数日だったがアリシア達がここにいた頃よりも遥かに成長していたことがわかった。アルクス、お前のお陰だな。

 王都では兄さんやウィルには会うのか?」

「わからないです…王都の状況次第ですが、ルーナには必ず会いたいと思っています。」

「そうか、前の時と同じになるがこれを頼む。」


アルクスはメルティウム叔父さんから数枚の手紙を受け取った。


「とりあえず全部ルーナに渡しておいてくれれば大丈夫だろう。」

「わかりました。戻りがいつになるかはわかりませんが、お元気で。」

「あぁ、体には気をつけるんだぞ。アリシアとバルトロもアルクスに迷惑をかけるんじゃないぞ。」

「難しいけど頑張るよ!お父さんも元気でね!」

「次帰って来た時は驚く報告ができるかも知れないから楽しみにしていて欲しい。」


バルトロは最後に意味深な発言をしていたが皆はおそらくスペルビアのことだろうと理解していた。

アルクス達はメルティウム叔父さんや孤児院の子ども達、商会の面々に見送られての華々しい出立となった。

短期間のメルドゥースへの帰郷となったが、アルクス達は前回の旅立ちと今回の旅立ちの大きな違いを実感し、また帰ってくる日までにより成長しておこうと心に誓うのであった。

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