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黎明の翼 -龍騎士達のアルカディア-  作者: 八束ノ大和
第六章 帝国編

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第107話 帰郷・再

 藍碧龍の計らいによって、懐かしいメルドゥースの街を眺めることができる場所まで転移してきたアルクス達。

数年ぶりの帰郷となったバルトロとアリシアは胸を弾ませたいた。


『ここが王国…』


初めて王国へと降り立ったクリオの顔には若干の緊張が浮かんでいた。


『王国でも端の辺りだけどね。これから行く街や王都もそうなんだけど、王国内では王国語以外はあまり使えないから道中で少しでもいいから覚えてもらうよ。』

『そっか、そうだよね。帝国や中央大陸ではあまり気にならなかったけど王国は結構言葉が違うんだよね。』

『基本的な会話だけだったらすぐできるようになるよ。頑張ろう!』


クリオの緊張をよそにバルトロとアリシアははしゃいでいた。

メルドゥースの街へと辿り着き、街の中へ入ると以前とは違い少しだけ活気の様なものがあった。

国境から離れているため、戦争の影響はないのか暗い雰囲気も感じられず、アルクスは少しほっとした気分になった。


「まずはどこから向かう?」

「メルティウム叔父さんも忙しいかもしれないし、とりあえず孤児院に行ってみようか。」


アルクスがそういうと皆、快諾した。

途中の道のりで、孤児院がどういう場所でアルクスの功績でどれだけ良くなったかをアリシアがクリオに熱く語っていた。

孤児院の近くへつくと少し離れた場所からでも子ども達の楽しそうな声が聞こえてきた。


中へ入ると子ども達は自分達で勉強や採集の方法などを教えあっていて、アリシア達が知らない顔も増えていた。


「おっ、アリシアじゃないか。久しぶりだな、帰ってきたのか?

 孤児院の教室のおかげで子ども達が街中で活躍してくれて、助かっているぞ。

 大人達も流石に子どもに負けていられないと、今まで怠けていたやつらも以前よりは働く様になった。」

 

孤児院に食材を運んで来ていた商会の店員から、アルクスが立ち上げた教室で育った子ども達が街中で様々な仕事に貢献することで皆助かっていて、それによりメルドゥース全体に以前より活気が生まれていることがわかった。

アルクスは自分がやったことが時間をかけて巡り巡って街全体に波及していることを知り、嬉しい気持ちになった。そして隣にいたアリシアはアルクスのしたことだから当然だよと自信満々の表情であった。


孤児院内で帰郷したことを子ども達に伝えると、皆集まってきて旅の話を聞かせてほしい、いつまでいるの、勉強を教えて欲しいなど、以前からいる子ども達からしばらく離してもらえなかった。

アルクス達と初めて会う子ども達は遠巻きに眺めつつも、先輩達から話を聞いていたのか尊敬の眼差しで見つめていた。


皆との交流が一段落すると、そろそろ仕事も落ち着いた頃だろうと商会へと向かい、アルクス達はメルティウムへと会うことができた。


「アリシア、バルトロ、アルクス、久しぶりだな。よく無事に帰ってきた、お帰り。

 そちらの方は?」

「彼女はクリオ、連邦のアルフグラーティで出会ったエルフで、ハイエルフを目指して僕達と一緒に旅をしているんだ。」

「ハジメマシテ、クリオトモウシマス。」

「こちらこそ初めまして、私はメルティウム。アリシアとバルトロの父親でアルクスの叔父になる。

 アリシア達が世話になったみたいで感謝する。

 さて、今までの数年間、どこを旅して何をしてきたかを聞いても良いかな?

 幸い今晩は時間が空いている、ゆっくりと話をすることにしよう。」


そしてアルクス達はメルティウムへと今までどんな旅をして来たのかを話した。


「龍か…信じられない話だが、そこにいるアーラだったか。彼を見たら信じるしかないな。

 思った以上にすごい経験をしていたんだな。

 アリシアからもたまに手紙をもらってはいたが商会で今後各国で手を伸ばせそうな分野の話ばかりで具体的に何をしているかということは書いていなかったから想像以上だったな。

 王国内では王都を境に帝国から遠い程活気があるな。

 戦争の影響がかなり出ている。

 だが王都よりこちら側まで来ることはないだろうということで、商会では需要に応えるべく物流の支援をして割と仕事には事欠かない状況だ。

 そこでアルクスが鍛えてくれた子ども達がかなり活躍している。

 やはり読み書き算術が使えるというのは強いな。


 戦争の話だが、戦場に近い北の方はひどい状況らしい。

 王都にも避難して来ている民も多く、今までとは違って大変な状況らしい。

 帝国側もそのまま進軍してくるということはないみたいだが、国境に近い街や村では略奪なども起きているらしい…」


王国と帝国の戦争の状況を聞き、アルクス達は何も言えなくなってしまった。


「脅かす様で悪かった。アルクス達はこれからどうするんだ?

 まだ旅を続けるのか?」

「はい、まだ旅の途中でたまたま近くに寄っただけだったので。

 これから王都の様子を見た後に帝国に向かおうと思ってました。」

「今帝国に向かうのはやめておいた方が良いんじゃないか?

 少なくとも陸路で向かうのはダメだ。

 帝国の一部の街と貿易をしているから、そこなら行けないこともないと思うが…」


メルティウムからの提案もあり、今後の旅の道程をどうするかアルクス達はしばらく考えることにした。


「急ぐ旅ではないので、少し考えてから決めることにします。

 しばらくは滞在するので何か役に立てることがあれば言ってください。」


長旅だったろうし、ゆっくり休むと良いと言われて、アルクス達は商会の宿舎に泊まることにした。


その夜、中央大陸に行ってからルーナへの手紙を出していなかったことを思い出したアルクスは急遽手紙を出すことにした。

今は王国内にいるということや手紙が遅くなったことを詫び、しばらくしたら王都へ向かうかもしれないと書き、怒っていないだろうかと不安な気持ちになったが、今までの手紙も届いているかわからなかったため、今までの旅の道程も改めて書き記すことにした。



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