異世界エレベーター
ある団地にある普通のエレベーター
実は、このエレベーターにはあるうわさがあった
その噂を確かめるために、2人でその団地を訪れた
その噂とは、04:44分に4階のボタンを4回押すと異世界に行くというものだ
「いや、ぜってー嘘やろ。だって、異世界行った証明はだれがしたん? 帰ってこれへんやろ」
「まあ、噂だからな」
「それに、試すチャンス多すぎやろ。一日一回とは言え、毎日チャレンジできるやんか」
「それは俺に言われても仕方ないんだが・・・」
恐らく、友人はビビっている。こいつはビビると口数が増えるからな
「ちなみに、ぴったり44分か? それとも45分までの間にか?」
「多分、45分までだろ。さすがに一瞬で4回ボタンを押すのは無理だからな。1分あれば多少は時計がずれてても大丈夫だろう」
「こういう時のために時間がずれない時計持ってきたわ。100年に1秒しかずれへんよ。まあ、異世界エレベーターの方が時間ずれてたら知らんけど」
「そういうのを含めて試しだな」
この団地には普通に住民が住んでいる。であれば、新聞屋さんなり夜勤バイトの人なりが偶然エレベーターを使用する事はあるだろう
まあ、さすがに4階を4連続でボタンを押す確率はほぼ無いと思うが。酔っ払って押すくらいが関の山だろう
「っと、そろそろやな」
時計は04:43分を表示している。俺たちはエレベーターに乗り、ボタンを押す準備をする
「今や!」
友人はそう言うと、4階のボタンを4連続で押した
エレベーターは動き、4階に着く
「・・・普通に4階やな」
「だな。明日、もう一度試すか?」
「そうやな。明日はビデオ持ってきて撮影しよか。もしかしたら、何かしら起きてるかもしれんし」
この日は何事もなく終わったので、次の日も試すことにした
だが、次の日も何もなかった
「一応、一週間くらい試すか?」
「そうやな・・・。そんで何もなかったらさすがに諦めるわ」
別に異世界エレベーターに拘るわけじゃないが、夏休みという事もあって暇を持て余していた
3日目。何もなし
4日目・・・友人が居なくなった
いつも通り、4階を4回押して何事もなく4階に着いたはずだった
俺が降りた後、友人が降りてこないことを不思議に思い、後ろを見ても誰も乗っていなかった
床にはビデオカメラだけが置かれていた
「まさか、4日間も異世界に行くキーになっていたのか? それとも、ずっと押してたのがあいつだったから、あいつだけ異世界に行ったのか?」
俺はその場でビデオを再生させた
そこには、友人の姿が映っていた
「おい、どこいったんや?」
おかしい。まるで、いまリアルタイムで話している様な臨場感だ
試しに再生を止めたが、映像は流れ続けていた
「まさか、ほんまに異世界にいってもうたんか?」
そこからしばらく映像を見ていたが、ふと我に返り、団地を出る事にした
それから数日が経った。俺の友人は居ないことになっていた
俺の日常は友人が消えた以外変わらないが、果たして異世界に行ったのは俺なのか、友人なのか
ビデオ越しに見える友人の居る世界は、ここと全く同じに見えた




