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これは・・・ですが  作者: 斉藤一


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食リポ

「うまい!」


何を食わせても「美味い」というリポーターが居た


いろんな番組に呼ばれ、ある時はドッキリとして出されたただの幼虫すら「美味い」と言って視聴者を驚かせた


いつしか、あいつに食えない物は無いとまで言われるようになった


しかし、それを面白く思わない人が世間にはいるものだ


それがある番組のスポンサーであったことは運が悪かったのだろう


「あいつに絶対食えないものを出せ」


そこで考えられた番組が『全部食べたら100万円』という企画だった


誰でも食べられるものから、徐々に食べられないものになり、最終的にはほぼ誰も食べられないものが出される予定だった


最初は卵焼き、次はピーマンの肉詰め、次はブルーチーズと、段々ときついものになっていく


10倍激辛カレー、猿の脳みそ……


彼はどんなものも「うまい」と言って食べていった。それを見ていたスポンサ―会社の社長は、絶対に残すであろうものを用意した


「これはさすがに……」


「いいから。もし、ダメだったらドッキリでしたと別の企画にすればいい」


そう言って押し付けられたものは……食品サンプル


当然、食い物ではない。だが、見た目は本物の食べ物そっくり


そもそもフォークすら刺さらないだろうし、すぐにバレるだろうとドッキリの準備をし始めた時だ


「うまい」


びっくりしてみると、男は食品サンプルを食べきっていた


「バカな! 本当に食ったのか!?」


慌てて尋ねると


「ああ、うまかったよ」


そう言って男は腹をポンポンと叩いて見せた


しかし、どうしても納得いかないのはスポンサーの社長だ。番組が終わり、彼を打ち上げという名目で連れ出した


「おい、白状しろ」


「何をですか?」


人目につかない場所で車を停め、社長は男に詰問した


「最後のあれ、食品じゃなかったのにどうやって食った?」


「あれ、食品じゃなかったんですか……気が付きませんでした」


「ふざけるな! 吐け、どうやったんだ!」


「……私が口に入れていないのがバレてしまいましたか」


「ほらやっぱり、ズルだったんだな。これをばらされたくなければもう二度と番組に出るなよ」


「そういう訳にはいきませんね」


それからしばらくして、車から「うまい」という声と、男の腹からゲップする音が鳴った

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