別荘
別荘を買ってからおかしなことが続く
ある不動産会社から、格安で避暑地にも使える別荘を買わないかと打診があった
普通なら1億はするロッジが、なんと1千万だ。それも、土地付きで
「なぜそんなに安くする? 固定資産税が高いのか?」
「いえ、田舎なので固定資産税は安いですよ。交通の便もそれほどいいとは言えませんし。ただ、うちも不況で少しでも売りたいんですよ」
不況だから、か。納得がいくような、行かないような……。結果的には、買ったのだが。丁度、ゆっくりできる場所が欲しいと思っていたところだったから
掃除はすでに終わっているという事で、さっそく下見に行った。これで良ければ家族で来ようと思う
不動産会社にも電話したが、その日は都合が悪いと言われ、鍵だけ受け取ってきた
ロッジは、確かに綺麗だったが、なんとなく空気が悪い気がする。よどんでいるというか、日はあたっているのに、まるで日陰に居るかのよう
キィと音を立てて扉が開く
「掃除をしたんじゃなかったのか?」
入って見ると、床に何かが落ちてた。それは、紙か何かの切れ端のようだった
食器はひと通り揃っていて、センスもいい
「確か、ここに住む直前になってキャンセルが入り、すでに運び込まれたものは自由にしていいんだったな」
生活感は全くないが、映画のセットか何かで揃えましたという感じにはそこそこ物があった
カシャンと奥の部屋から音がした。それほど広くはないが、いやに音が響く
行ってみると、床にはガラスの破片が散らかっていた
「コップか……? でも、こんな通路にコップ?」
水が入っていたのか、少し濡れている
ドサッ
さっきの部屋から音がした
行ってみると、本棚から分厚い辞書が落ちていた
「まさか、本棚の中にネズミとか居るんじゃないよな?」
一応見たが、ネズミの糞も、おかしなところも無かった。逆にそれが怖い。じゃあ、なぜ分厚い本が落ちた……?
トゥルルル、トゥルルル
電話が鳴った。たしか、すでにライフラインはひいてあるんだったか
「もしもし?」
「あっ、不動産会社のものです。いかがですか?」
「まあ、外見は気に入ったよ。内装もなかなかだ。ただ、空気が悪い気がするが、換気が悪いのか?」
「い、いえ……そのようなことは……。ほ、ほかには何もありませんか……?」
「そういえば、コップか何かが割れていたぞ。掃除したんじゃなかったのか?」
「あ、ああ。すいません。後日、また掃除に伺いますので……」
それだけ言うと、電話が切れた。何か挙動不審だったな
ドンッ
2階から何か重いものが落ちる様な音がした。まさか、泥棒でも居るのか?
そろりそろりと2階へ上がる。しかし、音の原因になる様なものは無かった
結局、たまに変な音はするが、それ以外に不思議なところは無かった




