457/862
火車
火の車……別に家計がヤバイ訳じゃない
火車というものを見たことがある
葬式の後、火葬場へ向かうバスの中で、外をボーッと見ていた時の事だ
視界に火の玉の様なものが見えたのだ
(人魂……?)
ゆらゆらと揺らめくその炎は、馬車の車輪が炎を纏ったように見えた
それは、バスの横を並走するようについてくる
怖いとか、気持ち悪いとか、そういうものは一切なく、悲しみの様なものが浮かんできた
火葬場についた時、その炎はいつの間にか見えなくなっていた
後で知ったのだが、火車は悪行を犯した死体を奪いに来ているらしい
俺の叔父さんが、生前に何をしていたのかは知らない




