表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/26

技術ツリー完成後の日本①

誤字脱字があると思います。温かい目で見てください。

技術ツリーが完成し、日本社会が有機的な生態系へと進化した後の日常風景を描きます。システムの整合性をイメージするための群像劇です。


ーーー


スマートシティの朝は、移動の無駄がない。自宅から工場、そして大学まで、すべてが20分圏内に収まっている。

若き技術者(翻訳者)のケンジは、精密加工工場のラインで、師匠である熟練職人のゲンさんと向き合っていた。ゲンさんは、AIが提示した「新素材の加工マニュアル」を一瞥すると、舌打ちをして手元のコンソールを操作した。

「AIの奴、気温の変化による素材の収縮率を読み違えてる。このまま削ったら千分の一単位でブレるぞ」

ゲンさんの手によって、機械の設定が直感的に修正されていく。この「エラーを見抜き、修正する」行為こそが、ゲンさんが持つ野生の修正力であり、システムが投げかけた間違いであり、修正力を日々鍛えるための1つの試練であった。

この修正はシステムのロックを解除するパージシグナルでもあった。

ケンジは即座にスマートグラスのカメラ映像とセンサーデータを同期させ、中級管理者のサトウのサポートを受けながら、AIが弾き出した加工の注意点にチェックと修正をしたうえで、

ゲンさんの「力の加減」と「直感」を言語化してAIに入力する。

「よし、この修正データは全国の同系統の花弁(同業他社)に検証リクエストを投げました」サトウが頷く。


午後。6時間の労働を終えたケンジたちは、併設された大学のキャンパスへ向かう。ここでは「6時間労働+1.5時間学習」が義務化されており、この学習時間にも給料が出る。

キャンパスのラウンジでは、引退した元・大企業のロケット開発責任者であり、現在はアドバイザー経営者を務める「マスター」のタカハシが、学生たちに語りかけていた。タカハシは技術ツリーの雛形形成に尽力したレジェンドだ。

「君たちの今日の修正が、明日の新しい花を咲かせる。ゲンさんのあの熱処理の直感は、宇宙空間での耐久性向上に直結する素晴らしい暗黙知だった」

タカハシの肉声による称賛のデータはゲンさんにも届けられ、彼の気分を高めた。前にゲンさんが言っていた「社会に必要とされているのを改めて実感する」と呟いていたのが頭をよぎる。


その横で、AIから「空間デザインへの高い適性」を分析・斡旋された18歳の青年、アキラが目を輝かせてホログラムの建築模型をいじっている。彼は技術者ではなく、全く違う分野で自分の才能を開花させることを夢見ていた。AIは彼の適性を見抜き、無理に工場のラインに縛り付けることはしない。


夕方。若き敏腕経営者のユミは、ダッシュボードを見て微笑んだ。

「ケンジくんとゲンさんのチームが登録した新しい『形式知』が、他県の実証テストをクリアして、正式に技術ツリーの枝として登録されたわね」

ユミの会社は、大企業から分業化された「俊敏な花弁」の一つだ。AIの結合組織を通じて、別の花弁である素材メーカーとシームレスに交配が行われ、新たなイノベーション(ブランド)の芽が出ようとしていた。


ケンジの端末に、通知が届く。

『あなたの翻訳貢献により、150技術トークンが付与されました』

このトークンは現金ではない。しかし、週末に家族で行く旅行の優待券や、最新家電の割引券として実体経済で強制的に消費され、街を豊かに回していく。消費税がゼロになったこの国では、人々の努力がそのまま生活の豊かさと誇りに直結していた。

泥臭い人間の直感と、冷徹なAIの演算が一切の無駄なく噛み合う。ここは、技術と精神が循環する、和の生態系だった。



読んでくれて、ありがとうございます。これから、技術ツリー完成後の日本の短編小説と主人公たちが考えた日本を救う案を織り交ぜて【エッセイ】として、随時投稿していきます。お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ