プロローグ どうしてこんなことに?!
(オクト目線)
「ねえ、オクト様、もっと近づいてもいい……?」
大きな目を細め、妖艶に笑うラーナ。
真夜中の修道院の客室には、月明かりが差している。
真っ白なシーツの上。
彼女はオクトの手に、柔らかな自分の手を重ねた。
ラーナの焦茶色の細い髪は月光にキラキラ揺れ、ふわりと彼女の胸に落ちた。
オクトは全身が心臓になったように、ドキドキしていた。
頭のてっぺんまで血が昇っているかのように熱い。
「綺麗な唇ね……美味しそう」
囁きと共に、ラーナは少しだけ唇を開き、紅潮した頬を近づけてきた。
「ラ、ラーナさん……?」
オクトは、自分の声が震えていることに気づいていた。
「キス……してみたいな」
彼女の白い指先が唇に触れそうになる。
(え、かわいい……なんだか頭がぼーっとして……思い切り抱きしめたいな……)
一瞬、オクトは正気を失いそうになっていた。
(じゃ、……じゃなくて!!!ちょ……なんでこんなことに……?!!!)
「待って待って待って!!」
オクトは両手を前に出して、彼女を制した。
そして頭をフル回転させて彼女との出会いから、今までを思い出す。
(ラーナさんが修道院に来たのは一週間前……)
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