SCENE8
職員室前の廊下
直談判を終え、職員室を出てきた大石。
膝についた埃を払い、大きく息を吐く。足元がふらつく。
背後から、ドアが開く音。
真田「大石」
大石が振り返ると、真田、健一、佐和子が立っている。
大石「……すんません。俺、生意気なこと言うて……」
真田「いや……」
真田、大石の前に進み出る。
真田「謝るのは、私の方だ。……私は教師として、リスクを避けることばかり考えていた。『生徒を守る』というのは、怪我をさせないことだけじゃないのにな」
真田、深く頭を下げる。
真田「すまなかった。……福田のこと、頼む」
続いて、健一が進み出る。
健一「陽向くん。……親の私たちでさえ、諦めかけていた。あいつの『心』を守ることを、どこかで放棄しようとしていたんだ」
健一と佐和子、二人揃って大石に向かい、深々と頭を下げる。
健一「情けない親父で、すまない。……あいつの青春を、守ってくれてありがとう」
佐和子「(涙声で)……あの子を見つけてくれて、本当にありがとう」
大石、慌てふためく。
大石「や、やめてください! 頭上げてくださいよ! 俺は……そんな立派なことちゃいます。俺が、あいつとおるのが楽しいだけなんで!」
大石、照れ隠しのように鼻をこする。
大石「ほな、俺、あいつ待ってるんで! 失礼します!」
逃げるように走り去る大石。




