第21話 「新加入」
俺たちは久しぶりのユートピアエデンで、再会を果たしていた。
「みんな、中間試験お疲れ様!!ようやく一段落って感じだね。」
はてな先輩の元気な声が響く。俺たちが今いる場所はユートピアエデン内の喫茶店。渋いコーヒーの香りと小洒落た雰囲気の素敵な喫茶店だ。窓際の席に、向かい合うようにパーティーメンバーが4人座っている。
そう、4人。と言うこことはつまり。
「そしてサヤちゃん!!私たちのパーティーにようこそ!だいっかんげいだよ大好きサヤちゃん。」
はてな先輩の熱い歓迎が行われる。そう、サヤも一緒だ。入るとは言ってくれてはいたが本当に来てくれたんだな。言ったことを破るようなやつじゃないのは知っていたけど安心した。
「まさか、木‥じゃなくてサヤさんが本当に入ってくれるなんてな。クロも結構やるじゃん。これからよろしく!」
信彦も驚きの声をあげつつも、サヤに歓迎の言葉を送る。この2人はまだ距離感を掴みきれていないと言った感じか。2人とも絡みが少ないだけで慣れれば自然に馴染んでいくだろう。
「サヤちゃんが入ってくれたらこのチームもかなり安定感が出てくるよ!バフ回復遠距離火力!めちゃくちゃ頼りになること間違いなし!」
役割が多すぎるんじゃないかってぐらいだな。もちろん、それをきちんとバックアップするのが俺たちの役目な訳だから決してサボっている訳じゃないはずだ。
「それじゃあ改めて軽く自己紹介します。と言ってもみんなある程度私のことは知ってると思うけど一応ね。サヤって言います。クロと彦丸くんのクラスメイトです。はてなさんには色んな基礎を教え込んでもらって‥いわゆる師匠。みたいな存在です。よろしくお願いします!」
堂々たる自己紹介だ。どうなる事かと思っていたが大丈夫そうだな。
「よろしくサヤ。」
「よろしく!」
「よろしくね!!」
各々が挨拶を交わす。
「さて、それじゃあ私も改めてこのパーティーの目標を説明しようかな。サヤちゃんも入ってくれた事だし少しずつ現実味を帯びてきたしね。」
あいも変わらずフードで何の表情も読み取れないがどうやら相当テンションが上がっているらしい。誘ってほしいって言ってたのもはてな先輩だしな。相当お気に入りだったんだろう。よくそこまで仲良くなったもんだ。
「私たちの目標は半年後に行われる1周年イベント。5v5の大会で優勝すること!プロとかも出場するような大会だけど、その分勝った時の恩恵も凄まじいよ。優勝賞金1億円!つまり1人2000万円の賞金が出るよ!ここまでで何か質問ある人いるかな?」
何もないという風に全員が首を横に振る。それを満足げに確認し、はてな先輩は言葉を続ける。
「という訳で!私たちはそのために沢山練習したり装備を整えたりしないといけません!やるからにはガチで!本気で勝ちを狙いに行きます!」
やる気に満ち溢れた演説だ。俺も頑張らなくちゃという気が湧いてくる。やるからにはガチで。そうだな、ハナから負けに行くなんてダサいこと出来ない。全員ぶっ倒して優勝してやる。
「うわぁ、なんだか今からそわそわしてきたな。そんなでかい大会で勝てたら目立つなんてもんじゃないだろ。超有名人だよ間違いなく!」
信彦も、興奮してきたというように落ち着かない様子で足をパタパタとさせている。
「前からはてなさんには聞いてたけど本当にそんな大きな大会出るんですね。私なんかまだまだ初心者なのに大丈夫なんですか?」
サヤが心配そうに話しかける。無理もない。まだ初めて2、3週間だ。当然そんな大事な大会があるよって言われても困るだろう。
「大丈夫!サヤちゃんは普通にセンスあるよ!それに私が教えてるんだから。心配しなくても私たちとの差なんてすぐに埋まるよ。」
相変わらずはてな先輩は自信満々だ。でも全く嫌な感じがしない。むしろ安心させてくれるのはその圧倒的な実力あってこその事だ。この人なら本当に、もしかして?と思わせてくれる。
「とは言っても、私たちが現段階で出遅れてるだろうっていうのは事実!これからビシバシ行くからね!覚悟しててよ?」
ゾッとしないな。はてな先輩の本気か。俺はちゃんとついていけるんだろうか。
「お手柔らかに‥」
はてな先輩の雰囲気がふっと柔らかくなる。
「サヤちゃんも連れて来てくれてありがとうね。クロ君のおかげでどんどん集まってるよ。本当にありがとう。」
そんな真剣な感じでお礼を言われるとは思っていなかったので、意外というかちょっと困惑する。照れ臭いな。
俺にはてな先輩。それと彦丸にサヤ。うん、この調子で行けばきっと大丈夫。
「俺はただ運が良かっただけというか‥。はてな先輩がいなきゃ何も始まらなかったです。」
「えへへ、じゃあ私ももっと頑張らないとね!」
いつも通りの明るいはてな先輩だ。
「という訳で!新しくサヤちゃんを加えた新体制でいよいよ本格的に動き出します!みんなやる気は大丈夫かな?」
確認する様にぐるっと見回す。当然、それを否定するような人はいない。
彦丸は待ってましたとばかりに自信満々に。サヤはまだ少し不安そうではあるがそれでも力強く。
そして俺は、自信と期待と希望を込めて大きく頷く。
「「「よろしくお願いします!!」」」




