【雷桜参式、翔ぶ】 ※挿絵有〼
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新キャラと新機体登場です(^^)
『ナイスガッツよ、新人。後は私に任せなさいッ!』
“ワルキューレ・ブレイズ”のコクピットに響く女性の声。
少女のような、それでいて自信に満ち溢れたハリのある声だった。
「帝国軍の共通回線だよ。これは……」
「味方かっ?」
ビームが発射されたであろう方向に目をやる。
視線の先には、海面を滑るように接近してくるパトリオットの姿があった。
海面スレスレを猛烈なスピードで飛行してくる『赤いパトリオット』。どれだけのスピードが出ているのか、通り過ぎた先から水飛沫が上がっている。それは西の海に沈む夕陽を浴びてキラキラと輝やいていた。
徐々に近づき俺たちの下を通って、あっという間に抜き去って行った。
一瞬見えたその機体に俺は見覚えがあった。
『味方よ味方っ! 正義の味方よぉぉぉぉッ!!』
日章旗を思わせる機体色。胸には“ワルキューレ・ブレイズ”と同じく帝国軍のシンボルでもある桜章。華奢なボディに強固な装甲をまとい、右腕には特徴的な折り畳み式の大型SVS。額には一角のブレードアンテナ。鋭く光るツインアイ。
間違いない。
「“雷桜参式”!?」
『そうよっ! 特別遊撃分隊隊長、上原飛鳥少佐、只今より作戦に合流するわっ!』
佐倉の声に上原と名乗ったパイロットは快活に名乗りを上げると、飛行型“ヴォルガー”の群れに突撃していった。
『【魔導力増幅装置】出力全開っ!!』
一瞬で“ヴォルガー”との間合いを詰めて、左腕の拳を握り込み、腰に構える。
すると虹色の粒子が拳に収束されていく。魔力が集まってくると同時に“雷桜参式”を中心にして海面に渦が発生した。
十分にタメを作ってから、上原と名乗ったパイロットが吠えた。
『唸れ鉄拳ッ! 魔導衝撃砲ォォォッッ!!』
掛け声と同時に拳を突き出すと、収束された魔力が光線となり一気に放出された。
光の弾丸になった魔力は扇状に飛散し、飛行型“ヴォルガー”数機に直撃。黒煙を吐き出しながらそれぞれが海に落ちて行く。
虹色の光線は心を奪う程に美しい。しかしそれは兵器としては驚異的な破壊力を示していた。
「魔力の光線!? それに機体を魔力で浮かせて移動させている? なんていう魔力量なの!?」
“雷桜参式”の足元、海面に大きな魔法陣が展開されている。魔力を使って機体を浮かせているのだろう。その様はリニアモーターカーみたいだ。
初撃で“ヴォルガー”の半数をあっさり撃墜した“雷桜参式”。しかし歩みを止めない。
『コジ、一気に決めるわよっ!』
『お手柔らかに、少佐』
上原と名乗ったパイロットはAIか何かにそう言った。
すると“雷桜参式”は水飛沫と虹色の粒子を撒き散らして再度加速した。
“ヴォルガー”の群れの下方に入り込むと跳躍、何もない空中を駆け登ると高度を合わせた。
「え、一体何が起きたの!?」
佐倉が驚くのも無理はない。側から見たら空中を駆け上った様に見えた。
「魔導光子障壁を展開させてそれを駆け上ったんだ、多分な。シュヴァリエと戦った時、俺たちもバリアを足場にしただろ?」
「……あぁ、そう言えば。だけどあれだけの面積のバリアをああもアッサリ張れるなんて……」
「あのパイロットはちょっと桁違いだ、気にするな佐倉」
「う、うん」
魔導光子障壁を一瞬展開させるのにも相当の気力が必要な佐倉に対して、あの上原とかいう人は何の苦労もなくそれを展開させていた。さっきのビーム然り。
あのパイロットは自身の余りある魔力を意のままにコントロールしているように思える。
『【フォールディング・ブレード】装備ッ!』
『了解、【フォールディング・ブレード】装備』
“ヴォルガー”の高度に到達した“雷桜参式”は右腕の折り畳み式の大型SVSを装備した。
右前腕部から肘の方向に取り付けられたそれは、手首の支点を軸に刃が一八〇度可動してきて柄を握り込むように装備する。何かに似てると思ったら、折り畳みナイフみたいな作りだな。
空中でも飛び石の様に魔導光子障壁を展開させ、その上を飛び跳ねて自在に動き回る。
“雷桜参式”はその【フォールディング・ブレード】というSVSを振るい、次々に“ヴォルガー”を薙ぎ払って行く。
あの機体にはフライトユニットなんて必要無いな。まるで空を飛んでいるみたいだ。いや、あの方法ならもしかしたら空を飛ぶよりも自由かもしれない。
もちろん“ヴォルガー”もただやられるわけじゃない。
ある者はアサルトライフルで、ある者はSVSで“雷桜参式”を討とうと試みる。
しかしそれでも“雷桜参式”とそのパイロットは、それらを全く苦にすることはない。
赤子の手を捻る。そんな表現が一番しっくりくるだろうか。
“雷桜参式”のその無双とも言える戦いぶりを見て驚く佐倉だったけど、俺はその規格外の機動に妙に納得していた。
“ワルキューレ・ブレイズ”や“ジャンヌ・ダルク”と同じように“雷桜参式”は【パトリオット・オンライン】に登場する機体。
俺はあの機体も知っていた。
何十機とある【パトリオット・オンライン】の中でもあの“雷桜参式”は反則級のスペックをもつ機体。
格闘ゲームとかでいるだろ? 異様に攻撃力が高かったりして、使うと友達とかに文句言われるキャラが。その存在ひとつでゲームバランスすら崩してしまう。その機体があの“雷桜参式”。
ある程度ゲームに慣れてるプレイヤーでも、全くの初心者が操作する“雷桜参式”に普通に負けるくらい。
攻撃が当たらない。当たってもバリアで阻まれる。
動きが素早い。攻撃力が高い。
唯一弱点を挙げるとすれば、遠距離武装が無いことくらいか。けど高機動の“雷桜参式”にとっては些細な事だ。
まさに〝チート機〟それが“雷桜参式”だ。
けどこの世界でそんな“雷桜参式”を意のままに操るあのパイロット。
佐倉もさっきから驚きっぱなしだけど、どうやら持っている魔力量が桁違いみたいだ。
“雷桜参式”は最後の一機を撃墜して、こちらに向き直った。
それと同時に俺たちはパラシュートをパージし、フロートユニットを作動させ着水した。
瞬間的にパトリオットを支える程の浮き輪が展開して海面に浮かんだ俺たちに再度通信が入った。
『援護に感謝するわ、新人。パラシュート降下しながら狙撃だなんて考えたわね』
「あ、え、あざます」
【音声のみ】と表示された正面モニターに“雷桜参式”が映り込む。
戦闘中の気迫に満ちた声色ではなく、確かに優しさを含んだ声だった。
『さあ、行きましょう。私達の仕事場へ』
彼女は俺たちに手を差し伸べて、言う。
『“ソメイヨシノ”へようこそ』
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