【日本海海上戦・狙撃】
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輸送機から降下した“ワルキューレ・ブレイズ”。
飛行型“ヴォルガー”と交戦開始です。
「敵影捕捉! 数二十機!」
俺と佐倉を乗せた“ワルキューレ・ブレイズ”は日本海上空をパラシュートで降下していた。
この機体に飛行機能なんて無い。出来てもスラスター全開のホバリング数秒が限界。シュヴァリエと戦った時の驚異的な跳躍力は地面を蹴る力あってのものだ。海上では使えない。
電磁迷彩加工されたパラシュートを何重にも展開して、出来るだけ降下時間を稼ぐ。
俺たちに許される作戦時間は降下時間とイコールだ。
着水したら腰部に取り付けたフロートモジュールを展開させて、浮くしかない。
そうなったらただの的。着水するまでに空中で飛行仕様の“ヴォルガー”を全て撃ち落とす必要がある。
「マジで二十機かよ。言ってても仕方ないか……佐倉、対物ライフル装備」
「了解、ライフル装備、射撃モードに移行」
腰部ハードポイントから長砲身の五〇mm対物スナイパーライフルを引き抜き、グリップを脇部に挟み込み、銃を構える。
「【自動姿勢制御装置】感度をプラス三.〇にしてくれ」
「……なるほど、了解だよ」
佐倉は感心したように呟くとコンソールパネルを叩いた。
空中で大口径の銃をぶっ放すと反動で降下姿勢が崩れかねない。発砲の反動を相殺するために【自動姿勢制御装置】の感度を上げておく。
ありがたい事に風はほぼ無し。
降下にも狙撃にも向いたコンディションだな。
“ワルキューレ・ブレイズ”にライフルの遊底をスライドさせて弾丸を装填。スコープを覗き込むと正面モニターに照準が表示され、拡大された“ヴォルガー”を捉える。
機体の背面に大きなプロペラ、左右に航空機の様な翼を携えた“ヴォルガー”に照準を合わせ、トリガーを引き込んだ。
「……当たれっ!」
弾薬が弾ける音が日本海に鳴り響き、強烈な反動が操縦桿に伝わってきた。
銃口から吐き出された五〇mmの弾丸は潮風を切り裂き、遥か海上を飛行する“ヴォルガー”の右翼に当たった。
コントロールを失った“ヴォルガー”はクルクルとデタラメに回転しながら落下していき、水柱を上げて墜落した。
遊底をスライドさせて空になった薬莢を排出、同時に弾倉から弾丸を装填する。
硝煙を吐き出した大口径の薬莢は日本海に落ちていった。
「さすがだね、有馬くん。右翼に命中だよ」
「まだまだ!」
撃ち落とされた仲間を見て、隊列を組んで飛行していた“ヴォルガー”達がバラバラと隊列を崩し始めた。
真っ直ぐ向かって来てくれると楽なんだけどな。狙撃されてるのを分かっていながらそんな事する奴は居ないけど。
スコープを覗き、拡大した状態だと動き回る敵を捕捉しにくい。観測手に徹してくれている佐倉の情報を元に照準をつける。
空中を蛇行するように動き回るけど……いけるっ!
「……っ!」
再び強烈な破裂音を伴ってパトリオット用に開発された五〇mmスナイパーライフルが吠えた。
それと同時に【自動姿勢制御装置】が作動し、機体の姿勢を保とうと機体各部にある小型スラスターを噴射させ体勢を維持する。
これをしないとパラシュート降下中の“ワルキューレ・ブレイズ”は発砲の反動で大きく揺さぶられてしまう。
銃口からライフル弾とマズルフラッシュを吐き出すと、狙い通りの“ヴォルガー”の右肩に命中。背面に装着されたフライトユニットも抉り取られた“ヴォルガー”は黒煙を吹きながら落下していった。
同じ要領で数機撃墜した後にコクピット内に警報が鳴った。
「敵機照準波検知っ!」
「さすがにこのままって訳には行かないかっ!」
見るとこちらに向けてミサイルランチャーを撃ってきた機体がいた。
まだ距離はあるけど、確実に俺たちに向けてミサイルが飛来してきている。
“ワルキューレ・ブレイズ”はパラシュートで降下しているだけ。回避行動など出来るはずもない。
ギリギリまで引きつけてスラスター全開で回避するか、タイミングを見計らってパラシュートを切り離すか。……それはあまりやりたくないけど。
俺は飛来するミサイルに照準を合わせて発砲した。初弾は外れ。素早くもう一度発砲。
今度は上手く命中し、強烈な破裂音を轟かせてミサイルは爆発飛散した。真っ赤な爆炎は瞬時に黒煙に変わっていった。
的が大きいパトリオットへの射撃はともかく、ミサイルは直径が極端に小さくなるから難しいな。
佐倉はとりあえず去った脅威に胸を撫で下ろし、アイコンタクト・ワイプで俺を見て言った。
「魔導光子障壁も張れるよ」
魔導光子障壁は佐倉の魔力を“ワルキューレ・ブレイズ”に搭載されている【魔導力増幅装置】によって増幅させる事により展開できる障壁。簡単に言うとバリアだ。
そうだな、それもある。
佐倉はそう言ってくれるけど……。
「助かる。けど、それは最後の手段だ」
「え、どうして?」
佐倉の頭にハテナが浮かぶ。
「あれを使ってる時の佐倉は辛そうだからな、あまり使わせたくない」
「え、あ、そ、そんな事……」
バリアを展開すると相当な魔力を消費するのか、必ず辛そうにしているもんな。なるべく回避して、バリアを張るのはどうしてもの時だけにしておいた方が佐倉のためにもなるだろう。
「あ、ありがとう、有馬くん」
「そんな事よりも次だっ!」
佐倉は少し照れた様にいうけど、今度はミサイルが二つ迫って来ている。気を抜いている暇はない!
一発目は一撃で破壊。……けど、二発目はなかなか狙いが定まらない。
「くっ! 仕方ない、パラシュートをパージ……」
パラシュートを切り離し、緊急回避しようとしたその時、虹色の光が迫るミサイルを捉えた。
光がミサイルを貫いた次の瞬間。満載に積んだ火薬に引火し大爆発を起こした。
「光線!? 一体、何が……」
誰かの援護射撃か、そう頭を過るのと同時に“ワルキューレ・ブレイズ”のコクピットに女性の声が響いた。
『ナイスガッツよ、新人。後は私に任せなさいッ!』
内部スピーカーからハリのある女性の声が聞こえてきた。
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新キャラ登場予定です。どうぞお楽しみに




