【召喚士アンナ】②
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「有馬優介よ。既に気づいていると思うが、ここはお主が生きた世界では無い」
アンナと名乗ったその子はハッキリとそう言った。
ここは、俺が生まれ育った世界とは違う、と。
「……」
「……無理もない。この現実を飲み込む迄には、時間がかかるやも知れぬ」
「まあ、な……」
そう呟くと、俺は振り返って後ろの跪いた【ワルキューレ】に視線を向ける。
俺は今日、この【ワルキューレ】に乗って、操縦して、更には【ヴォルガー】を三体も撃墜した。
それも、目を覚ましたらそこがコクピットだったってオマケつきで。
こんな非常識なことが立て続けに起こって、正直俺の頭の中はぐちゃぐちゃになってる。
でも……これは現実なんだ。
だから俺は今、その非常識と現実に必死で折り合いをつけている最中ってわけだ。
「うむ……ならば語るとするかの……」
アンナは、俺がここまでに至った経緯を訥々と話してくれた。
まず、目の前の『アンナ』はこの世とあの世を繋ぐ、この世界で半分神の様な存在だという事。
そのアンナが、この世界に俺の魂を『転移』させた事。
そして……前世での俺は、死んだという事……って!?
「……し、死んだのか、俺は!?」
「残念じゃがの。……死因は心臓発作じゃ。床に着いた後、その心臓発作によって起きる事はなかった。苦しまずに死ねたのがせめてもの幸いじゃの」
「し、心臓発作?」
つまり俺は、いつものようにベッドに入って、そのまま死んだって事なのか……?
だけど、もともと身体が丈夫じゃなかったとはいえ、十七歳で心臓発作って……。
湧き上がる暗い感情を振り払うように、俺はかぶりを振って話を戻した。
「……それで、わざわざ死んだ俺を生き返らせた理由は何なんだ?」
生き返らせたって表現が正しいかどうかは分からないが、こうやって俺をここに連れてきた理由があるはずだからな。
「うむ……お主には【パトリオット】に乗って、この世界を救って欲しい」
「はあ!?」
アンナから放たれた言葉に、俺は思わず声を上げた。
俺が!? 世界を!? 【パトリオット】に乗って!?
「突然の話で実感が沸かんかの。実はこの世界、百年程前から異世界による侵略を受けておる……」
「異世界による侵略?」
その言葉で、俺の頭はますます混乱する。
いや、そもそも俺にとって、この世界こそが異世界なわけで、さらに別の世界が存在するってことなのか!?
異世界から侵略されてる異世界を、異世界から来た俺が救うだって?
すると首を傾げる俺に、アンナが丁寧に説明をしてくれた。
今から約百年前、この世界と件の異世界とを繋ぐゲートが突然開かれた。
そして、そのゲートから【ルゴール王国】とかいうその異世界の軍隊がこの世界になだれ込んできたらしい。
この世界を、侵略する目的で。
当然、この世界も黙って見ているわけもなく、佐倉達が所属する【帝国軍】は、発展した科学によって開発した人型機動兵器【パトリオット】を駆使し、その侵攻を食い止めようとした。
だが、相手の【ルゴール王国】も【パトリオット】を鹵獲して研究・開発し、とうとう戦場に展開してきたのだ。
こうなると、均衡を保っていた戦況は敵の圧倒的物量、そして何より圧倒的魔力量の前に徐々に圧され、この世界は領地を【ルゴール王国】にほぼ占領されてしまったのだという。
「……こうなっては【帝国軍】ももう後がない。そこで、そんな圧倒的不利な戦況を打開するために、【パトリオット】の卓越した操縦技術を持ったお主を召喚したのじゃ。科学技術や物量を、別の技術で補うために、の」
そこまで話すと、アンナはその翡翠の瞳で俺を見つめる。
そして。
「有馬優介よ……【パトリオット】を駆り、この世界を救ってやって欲しい」
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