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【召喚士アンナ】①

ご覧いただき、ありがとうございます。

 訳の分からないまま戦闘を終えた俺は、佐倉の案内でその基地とやらに帰還した。


 ロボットの基地だから、さぞかし近未来的というかSF的な所を想像していたけど……全くもってそんな事は無く、木々に囲まれた湖の畔。自然豊かな場所に隠れるように、基地と言うには粗末な、むしろ〝廃墟〟といった方が良いような場所だった。

 

 そんな廃墟のような格納庫に入り、俺は【ワルキューレ】を(ひざまず)かせると、関節をロックしてから降りる。


「……す、すげぇ」


 【ワルキューレ】から降りた俺は、その巨体を足元から見上げた。


 白を基調としたボディカラー。華奢なボディに角ばったシンプルな装甲を身にまとい、膝をつき(かしず)いている。


 (ひざまず)いた状態でも十分にその大きさを感じる事が出来た。

 

 さっきの戦闘で塗装は剥げ落ち、装甲はボロボロ。

 それでも初めて間近で見る【パトリオット】に俺は興奮を隠せなかった。


 だってアレだぞ、訳の分からない状況だとはいえ夢の巨大ロボットをリアルに見る事なんて出来ないんだから。

 ましてや俺は【パトリオット・オンライン】をプレイしているわけだし、普通の男子よりも圧倒的にロボット好きなんだから、当然にタギル!


「有馬くん、こっちだよ」

「お、おお……」


 先に少し離れた所にある出入り口の前に行ってしまっていた佐倉が、俺を大きく手招きして待っていた。


 戦闘中は気が付かなかったが、俺は佐倉のスタイルの良さに今更ながら気付く。


 ショートカットの輝く黒髪。後ろは大胆に短く切り揃えてあり、そこから白い(うなじ)が覗いている。   

 前髪は左右非対称で片方を左耳にかけていて形の良い耳が露わになっていた。

 猫を思わせる大きな瞳。雪の様に白い肌、それでいて健康的で血色は良い。

 身長は俺より少しだけ低い程度。一六〇cm半ば程あるだろうか。

 ゴムの様な素材のぴっちりとしたパイロットスーツでクッキリと流れるようなボディラインが浮き出ている。


「……? どうしたの?」

「あ、いや、なんでもない」

 

 いろいろなやましい想像をめぐらせていた俺だったが、佐倉の呼びかけで我に返ると、言われるがまま彼女の後を追った。


「待っておったぞ」

「……?」


 すると、格納庫の出入り口に一人の少女が立っていた。

 

 自らの身長ほどもあり、今にも地面に触れてしまいそうな銀色の長髪、丸くて大きな翡翠色の瞳。

 白のローブ姿で身の丈以上もある木の杖を携えている。

 見た目は小学生か、十歳程度にしか見えない少女だけど……なんとも言い難い落ち着きがあるように思えた。

 

「アンナ様っ、おかげで勝利する事が出来ましたっ! なんとお礼を申し上げたら良いか……」


 彼女の姿を見た佐倉は嬉しそうに声を弾ませながら(ひざまず)き、自らの胸にそっと右手を添えた。

 まるで神に祈るように。


「うむ。しかし、戦ったのはワシでは無い。礼を言うならばこの男に言うのじゃな」

「は、はいっ……有馬くん、ありがとう、本当に」

「お、おぉ……」

 

 そう言うと、佐倉は改めて俺に深く頭を下げた。

 そんな佐倉に、俺は曖昧な返事しか返すことが出来なかった。


 多分、さっきの戦闘に対してのことなんだろうけど、礼を言われるような事じゃない。

 だって、少なくとも俺は自分の命を守る為に戦ったにすぎないんだから。

 

「佐倉()()、すまぬがこの男と話がしたい。恐らくこうなった経緯(いきさつ)もわかっておらんじゃろう……いや、わかるはずもない。ワシは此奴(こやつ)に事情を説明せねばならん」

「はっ。では私は外しております」

「うむ」


 ピシッと敬礼をすると、佐倉は踵を返して去って行った。

 すれ違いざま、俺に「終わったらすぐに来るから」と言い残して。


 残された俺と、このアンナと呼ばれた……うん、のじゃロリ。

 佐倉が行くのを少し待つ俺たち。

 その間のじゃロリは俺をその翡翠の瞳で見つめていた。

 

 事情を説明するって言っていたけど……ひょっとして俺がここに来た理由、コイツが全部知ってるのか!?

 俺は(いぶか)し気にのじゃロリな女の子を眺めていると、女の子はゆっくりと話し始めた。


「まず、今あの娘から聞いたと思うが、ワシの名はアンナじゃ。そして有馬優介よ、お主には謝らねばならんの」


 女の子……アンナが名前を名乗り、次に出た言葉は俺への謝罪だった。

 つまりそれって……。


「それは、アンタこそが、俺がこの世界に来ることになった元凶だったってこと、なのか……?」


 俺はアンナに自分でも驚くほど低い声で問いかける。

 そして、そのまま彼女に詰め寄ろうとしたところで、アンナは手を突き出して制止を促した。


「まあ待て。今から話す事は〝魔法のない世界〟から来たお主には信じられぬ事かも知れぬが、まずはしかと聞いてほしい」

「……ま、〝魔法のない世界〟?」


「有馬優介よ。既に気づいていると思うが、ここはお主が生きた世界では無い」


 お読みいただき、ありがとうございました。


 少しでも『面白い!』『続きが読みたい!』『頑張っているな』と思っていただけましたら、【ブクマ】【評価】をよろしくお願いします。


 続きは今日の夜更新。


 少しだけストックが有りますので、しばらくは毎日複数話更新の予定です。

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