第3章 第13節 闇を纏いしコルネリウス・ハーン
※この作品はシェアワールド『テラドラコニス』の世界観に基づいて書かれています。
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反魂使いのダークファンタジーです。
恋って、いつが始まりなんだろう
皆いつ、「これが恋だ」なんて気付くんだろう?
できれば切なさなんて、欠片もいらなくて
絶対に、ハッピーなエンドで終わる恋がいいのに。
心臓が、なんかおかしい……。
ラウムが、かつての恋人「ガラテア」のことを呟いた
ただそれだけで、なんか無性に鼓動がドクドクいってる。
いやそういうの、困るじゃん。
毎日会うんだしさ。
普通にパンをちぎって食べてるだけなのに、隣に座るラウムが、妙に艶やかに見える。『キレイだなー……』なんて、心の音が零れそうになった。
しんどい。
『そういうの困るって』俺は俺の心臓に、叱咤したくなった。そんな時だ、玄関のドアを乱暴に叩く音がして、誰かが木製のドアをバーン! と、蹴破った!! 木のドアが外れ、ガランガランと音を立てて地面におちた。俺は思わず、声をあげる。
「ちょっ、なんだよ!? どうしてこんな事するんだ!」
「これはこれは失礼
わたくしの名は、コルネリウス
コルネリウス・ハーンと申します」
男はそう告げると、フチが蒼の眼鏡を、クイっとズリ上げる。舌を蛇のようにチラリと見せると、灰色がかった青の瞳をゆっくり、ゆっくりと俺の方に向けた。
「この宿に、反魂使いがいるとお聞きしたのですが?」
「は?」
「ご存知ないですか? 銀の反魂使いですよ」
闇を孕んだ瞳が、弓のように細くなる
にっこりと微笑むと、俺の背筋にゾワリと冷たいモノが走った。
……こいつは、心を開いてはいけない男だ。
本能が、そう告げた。
「えっと……すみません。俺、知らなくて」
「おやおや、そうですか。これはこれは失礼を
クラウディア、紅茶を」
「は! コルネリウス様」
大きくあいた入り口から、いつ間にかいたのだろう? 部下とも執事ともとれる、『クラウディア』と呼ばれしクールな女性が立っていた。スッと膝をつくと、ティーカップをテーブルに並べ、紅茶をコポコポといれはじめる。
え、突然の紅茶!?
驚いてボー然とする。
だってなんで今、紅茶なんだろう?
彼女はベルベット生地の、深緑のワンピースに身を包んでいた。スカートの丈は短く、キャラメル色のブーツを履いて、キリリとした表情で紅茶を淹れている。髪は翡翠の色をして、肩までの前下がりのボブ。
なんだろか、この状況
これ、待ってなきゃいけないのかな〜。俺スキをめっちゃ逃げたい。
「コルネリウス様、お紅茶を」
「ありがとう。ああ……かぐわしい……!
これから起こる惨劇にふさわしい、芳醇な薫りだ」
「コルネリウス様、氷砂糖をお入れしましょう」
「そうですねえ。それは素敵な提案だ」
ダークブルーのシャツに、漆黒のズボン。蒼のフチの眼鏡をまた、クイっとあげると、優雅に紅茶を受けとった。その鬼畜メガネは、氷砂糖を宝石のように光に透かすとニッコリ微笑み、ポンポンと紅茶の海に沈めたんだ。立ったまま紅茶を飲んでる姿は、この柔らかな雰囲気のキッチンの中では、異様な空気を放っていた。
すっげーサディステッィクな姿なのに、紅茶のんでてゾクッとする。
「ふう、美味ですねえ。ところで……
そこの貴方、名はなんと申すのでしょうか?」
「えっと、俺はアレキ……です」
「アレキ君ですか。
昨日、『クライネヒュッテ』に行きませんでしたか?」
「えっ……!」
「クライネヒュッテに、反魂使いがいたと。
そんな噂を聞きましてねえ」
「俺は、何も知らない」
クライネヒュッテーーーーーーーーーー
昨日の酒場か。
なんでそんな事聞くんだ、なんで噂になってる!?
このコルネリウスって人は、一体何者なんだ……!
ガタン!
振り向くと、ラウムが凛と立っていた。漆黒の髪をかきあげて、まっすぐに、コルネリウスを見据えている。
その瞳には、殺気が滲んでいた。
当の鬼畜メガネさんは、紅茶をコクコク飲み干すと、空になったティーカップをゆらゆら揺らしながら、穏やかな口調で言葉をつづけた。
「そうですか。残念です
年の頃17、8の青年が二人、一冊の本をめぐって争っていた
との情報がありましてねえ」
「そんなこと、俺はまったく知らないんで」
「銀の反魂使いが持つという、深淵の書は
この世に一冊しかないんですよ。
ねえ、アレキ君?」
カチャン。
と、ティーカップをテーブルに置くと、コルネリウスはゆっくり腰のサーベルを引き抜いた。
「コルネリウスさん、貴方は一体
何者ですか?」
「わたくしですか?
あはははははははははははははははははははははははは
では名乗るといたしましょう。
わたくしは、『煉獄の反魂使い』コルネリウス・ハーン
反魂使いを狩るモノです!!」
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