第3章 第8節 俺は何色の反魂使い?
※この作品はシェアワールド『テラドラコニス』の世界観に基づいて書かれています。
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「お、お、お前、何色の反魂使いだ?」
褐ミノが、ミノタウロスを抱き起こしながら、そんな言葉を問いかけた。視線の先には、俺とダリウス。えっちょっ……これって、俺たちに聞いてんだよな?
そもそも反魂使いは、一種類だと思ってた。
反魂使いに「鈍色」とか、カラーバリエあるの知らないしな〜。うーん。むしろ、俺のが聞きたいくらいなんだけど。
まあ、素直にこの気持ち、伝えてみるか!
「すまん! 俺も、わからないんだ」
「な、な、なんだと?」
「俺たちは双子だ。反魂使いを継いだのは、ここにいるダリウスだけど、父さんからは他に反魂使いがいるなんて、一度も聞いた事なかったんだ」
「そ、そ、それは誠かあ?」
「ああ。逆に聞きたい!
鈍色の反魂使いって、一体俺たちとさ……どう違うんだ?」
一瞬、涼やかな風がサヤサヤと若草の大地を揺らした。
ラウムは、いつの間にか心配そうに、俺とダリウスの近くへと歩み寄ってたんだ。俺の腕にさりげなく自分の腕をキュッと絡めると、心配そうに頬をくっつけ……たああああああああああああああ!?
「え、あのっっ、ラウム?」
「大丈夫ですの?」
「すっっっごい、大丈夫ですっっっ!!」
変な声でたし!!
いかん、ビックリしすぎてキャラ崩壊するわ。
まてまてまてまてまてまてまてまてまてまて、待って俺!!
真面目な話に戻そうか。ラウムは腕を絡めたまま、肩にコツンとおでこを乗せた。
はいっっっ!!
思春期モード、起動!!
という巨大な文字が脳内をかすめたけれど、きっと気のせいだろう。なんかもう、そういう事にしとく!! 心臓がもっきゅんもっきゅん高鳴るが、放っておこう。
荒ぶる恋の神よ……今だけは鎮まりたまえ……まじで……っ
「鈍色の反魂使いは、命を蘇生することはしない。
いや、できないって〜のが正しいかな」
蘇生したばかりのミノタウロスが、
魔法陣のセンターで立ち上がる。
褐ミノはその隣で、背負っていたリュックから、鈍色の分厚い本を取りだした。表紙には魔法陣と、血で描かれたとみられるタイトルが記されている。
あ、これって……深淵の書に似てないかーーーーーーーー
「こ、こ、これが、鈍色の反魂使いの書だ」
「俺たちは兄弟だ。
ともに幼い頃から、鈍色の反魂使いを目指して、生きた」
「で、で、でも、書に選ばれたのは
弟の俺だったんだあ」
「え?」
そんな事ってあるのか……!?
他にも反魂使いがいて
同じように、おそらくは一子相伝の秘術で
ミノタウロスが選ばれず、褐ミノが選ばれたって……!
くしゃくしゃと申し訳なさそうに、ミノタウロスは頭を一度下げた。そうして兄弟で魔法陣を出ると、俺の前に向きなおる。少し酒の匂いが鼻腔をかすめるけど、もう酔っ払ってはいないみたいだ。
「酒場では、すまなかったな。
なんていうか……その。
姉ちゃんかわいかったのと、その本が、どうみても鈍色の書に似ててさ。気になってな」
「ああ、深淵の書か」
ダリウスが、自らの持つ深淵の書と
褐ミノが抱きしめている、鈍色の書を見比べた。
「ダリウス!! 似てるな、やっぱり」
「ああ。表紙のビジュアルも、大きさも似すぎている」
「作者がどこかにいるなら、同一人物かな〜?
もしくは、模倣した作品なのか……」
「お、お、俺が選ばれるなんて、思ってなかったんだ」
褐ミノが、鈍色の書を見つめながら、ポツリと呟いた。
「お、お、俺の夢は、木工職人になることでさあ。
あんまり頭もよくねーし
この通り、うまくしゃべれねーしよお」
「キーファー、そんな事
気にする事じゃねーよ」
「で、で、でも!
頭なら、ランドルフ兄者の方が
ずっとずーーーっと、いいしよお!!
ちっちゃい頃から勝手に『兄者が選ばれるんだろな〜』なんて思ってたんだあ」
「鈍色の書は、お前を選んだんじゃねーか
いい加減、胸を張って生きろよ!」
「で、で、でも」
「俺には、キーファーのような力はねえからよっ」
「兄者……」
「はははははははははは、そんな顔するなって!
なんかまた、他の道を選ぶさ!!
だって、それでも……生きていかなきゃいけね〜からさ」
そう言って、褐ミノの背中をドンと叩いた
酒が抜ければ、案外サッパリと話せる男なのかもしれない。
なんとなく、ランドルフって兄貴の方も、『自分が選ばれる』って信じてた時があったんじゃないかな。かつての俺みたいに。
なんでだろう、ふと。そんな事を思った。
「お、お、お前、ケガしてるなあ」
褐ミノが、俺の右手を指さす。
あれ? 本当だ、いつの間にこんな傷負ったんだろう? 右の手の甲から、ひとすじの血が流れてたんだ。
「さ、さ、酒場でケンカした時に、ケガしたのかもなあ」
「本当だな、全然気づかなかったな〜」
「お、お、俺が治してやろうか?」
「え?」
「お、お、俺は鈍色の反魂使いだから」
そういって、褐ミノが鈍色の書をパラリと開いたんだーーーーーー
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