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「RPGパラレル・パラドックス」  作者: しんTAKA


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RPGセカンドストーリー 第六話 冬休み

【フェーズCollege Winter Vacation】


年末も近くなって、俺はまた実家に帰った。

彩乃に逢いたかったが、ギリギリまで講義があって帰れないとのことだった。


(残念だなぁ)


って思っていると、岸本が遊びにやってきた。

こんな時は、こいつの軽さがうれしい。


「よ、崇。元気か?」

「まあな。お前は現にそうだな」

「あったり前よ。俺から元気取ったら何も残らないからな。ところで、KAHOちゃんとはどうなった?」

「お前、すぐそれだな」

「おう、すぐそれだよ」

「フラれたよ」

「フラれた? どうして」


俺は、秋から冬にかけてあったことを岸本に話した。


「……そうか。残念だったな。まぁ、でも仕方ないか」

「まぁ、仕方ない」

「……ん? なんかお前、全然へこんでないな」

「へこまないよ。一つの音楽が終わっただけ」

「そんなもんか? いや、それだけじゃないだろ?正直に言え」

「正直も何も、KAHOちゃんに関してはそれだけだよ」

「……まぁいい。そうだ、俺、新しい曲書いたんだ。崇、聴いてくれ」

「おう、いいね。俺は最近、ギターばっかりで曲書いてないから、楽しみ」


二人はその日一日、俺の部屋でギターを弾いたり、曲をアレンジしたりして遊んだ。

夜はそのままうちで飯まで食べて、岸本は帰って行った。


(あいつといると、地元に帰ってきたなぁって感じだ)


遠ざかる岸本の車を見送りながら、俺は少し笑顔になった。


次の日、彩乃から電話があった。


「もしもし、崇君?」

「おう、彩乃、元気か?」

「元気よ。あのお願いがあるんだけど」

「何?」

「私、のっこと年末にアニメ映画見に行くことになってたんだよね」

「うん、それで?」

「私、講義がギリギリまであることになったから、帰れなくなって。崇君、申し訳ないんだけど、明日、私の代わりにのっこと映画を見に行ってくれない?」

「へ? 俺が行っていいの? 俺、アニメ詳しくないよ」

「いいのよ。のっこのご指名だから」

「のっこちゃんが俺をご指名? なんでまた」

「なんかね、安岡君は『終止符』の曲の創り方とか、ラスサビの追加とか、他の人と感性が違う気がするって言うのよ。一度、じっくり調べてみたい……じゃなくて、話してみたいって」

「調べてみたいってことね。了解。彩乃が行けって言うんなら行きますよ」

「別に行けって言ってるわけじゃないけど、約束破ったのは私だから、責任感じちゃって」

「わかってるよ。じゃあ、のっこちゃんとデート、楽しんでくるよ」

「楽しんじゃダメ!」

「え?」

「映画は見に行っていいけど、デートは楽しんじゃダメ」

「なるほど、そういうことか。わかってるよ。しっかり取り調べを受けてきます」

「どうかなぁ、すぐ相手の感情の中に入っちゃうからなぁ。ちょっと心配」

「ええ? のっこちゃんだよ。そんな心配しなくても大丈夫だよ」

「違う、のっこちゃんのこと」

「え、そうなの? のっこちゃんも俺みたいなところあるんだ。意外だな。全然、そんな感じしないのに」

「違うのよ。のっこの人の感情の中に入るっていうのは、崇君のとは、全然タイプが違うの」

「じゃあ、どんなの?」

「う〜ん、口では説明しにくい。実際に会って確かめてください」

「あ、そう。よくわからないけど、彩乃がそう言うんだから行ってみるよ」

「ありがと。じゃ、気をつけてね。のっこに連絡しておくから、映画見終わったら、また連絡してね」

「おう、ちゃんと報告させていただきます」


翌日、彩乃から聞いていた待ち合わせ場所に行くと、もうのっこちゃんは来ていた。

「お待たせ。ごめんね、遅くなって」

「ううん、今、来たところだから大丈夫。それより今日は付き合ってくれてありがとう。安岡君、アニメ、好き?」

「まぁ、好きだけど、そこまで入れ込んではないな」

「そう。私はどうしてもこの映画が見たかったの。彩乃と行きたかったんだけど。学校があって来れないっていうから」

「ああ、聞いている。なんか俺を指名してくれたんだって?」

「うん。安岡君の生態、気になるから」

「え、なんか怖いなぁ」

「心配しないで、取って食ったり、急に切りつけたりしないから」


のっこちゃんは笑いながらそう言った。が、


「のっこちゃん、目が笑ってないよ」

「そう? これが私の普通だけどな」

「そうなんだ。ま、まぁ、今日はよろしく」

「こちらこそ」


俺は急に不安になったが、


(まぁ、命までは奪われないだろ)


と、のっこちゃんと一緒に映画館へと入って行った。


その映画は宇宙を舞台にしたSFで人類と宇宙人との戦いを描いた長編スペクタクルだった。

最初、なんともないだろうと思っていたが、終わった後は言葉にならないくらい感動していた。


「いやぁ、すごかったね。感動したよ。のっこちゃん、誘ってくれてありがとう」

「うん、私も感動した。安岡君、きっとこの映画、好きだと思ってた」

「なんで?」

「途中の急展開とか、全体の構成を見ると、安岡君が創ってる歌と共通する部分があったからね」

「え? そんな部分あったかな? 全く別物だと思うけど」

「まぁ、内容は全く違うけど、考え方の部分に共通性がある気がしたの」

「そうなんだ。それにはよくわからなかったけど、のっこちゃんがそういうなら、きっと、そうなのかな」

「うん、間違いない。そして、安岡君のその感性は、彩乃の心をくすぐる」

「え?」

「安岡君。彩乃を泣かせるようなことしたら承知しないからね」

「え、いや、そんなことしないよ」

「どうだか……。まぁ、じっくり観察させてもらうわ」

「だから怖いって。のっこちゃん、もっと明るく行こうよ」

「充分、明るいつもりよ。要は安岡君が彩乃を裏切らなきゃいいだけよ」

「わかった。裏切らないよ。ってか、彩乃になんか言われたの?」

「うん。安岡君と付き合ってるって。あの子が自分からそんなこと言ったことないから、保護者としては確認をしたの」

「のっこちゃん、彩乃の保護者なの?」

「みたいなものよ。彼女が高二の時にフラれた時も、真っ先に私に話してくれた。いつだって私が彼女の味方。私が彼女の一番」

「へえ、そうなんだ」

「……だったのに」


と急に彼女は涙目になった。


「え? のっこちゃん、どうしたの?」

「なんでもない。とにかく、彩乃を泣かせたら許さないから」

「わ、わかった。泣かさないよ」

「誓う?」

「誓うよ」

「その言葉、忘れないでね」


そう言って、彼女は帰って行った。


俺は呆気に取られたが、ふと思い出して、彩乃に連絡を入れた。


「もしもし、彩乃?」

「崇君、デート終わった?」

「うん、終わった」

「楽しかった?」

「ああ、まぁ……」

「デート、楽しかったの?」

「いや、映画が楽しかったんだよ。デートじゃない」

「そう、ならいい。のっこに何か言われた?」

「ああ、言われた」

「なんて?」

「彩乃を泣かしたら許さないって」

「……そう。やっぱり、そんなこと言ったか。ごめんね、崇君」

「いや、でも確かに泣かすのはダメだと思うから、ここで誓うよ。俺は彩乃を泣かさない」

「ほんと?」

「ああ、ほんとだよ」

「うれしい、信じるね。じゃ、今、ちょっと忙しいから、また連絡するね」

「おう、忙しい時にごめん。またな」


彼女はそう言って電話を切った。


彩乃はずっと俺を見ていてくれる。

そう感じられて、俺は素直に嬉しかった。

この休み、彩乃には会えなかったけど、帰ってきてよかったと思った。

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