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紅い侍  作者: 柴崎龍
第一章 父の教えを胸に
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第五話 軍議

ちょっと福島正則視点のスピンオフも書こうかな~、何て思ってます。



大坂城・大広間



「まず、この策には豊臣家の金銭が必要です。つまり、上様のご協力が必要になります。」



「金銭のことなら良い。豊臣家としては良い策があるものには金銭を使うように決定しておる。」



信繁は豊臣家が難色を示すと思っていたので、これには想定外だった。



「ありがとうございまする。まず、我らの領国に近い大名に金銭を贈り、味方に付くよう説得します。」



「少しお待ちください。金銭で我々に靡くとは思えませんが。」



ずっと黙っていた大野治長が口を開いた。



「確かに、大野殿が申される通りです。味方に付く確率は5割、いや、もっと確率は少ないかもしれないです。ですがどこの諸大名も上様と逆賊・家康に謁見するのに金銭を要しています。」



「殿と家康を同じにするな!」



薄田兼相という豊臣譜代の武将が野次を飛ばした。



「静粛にしろ。左衛門佐はそういう意味で言ったわけではないと分かるであろう?」



秀頼に叱責され、兼相は口をつぐんだ。



「左衛門佐、続けてくれ。」



「はっ。先ほど言ったように、味方になる可能性は5割以下であり、此度の策はそれが目的ではありません。本来の目的は軍事通行権、つまり我々の軍勢が諸大名の領地を通れるようにするというのが今回の目的です。」



「つまり、畿内の大名に金銭を渡す代わりに軍事通行権をもらい、畿内から少し離れた国を攻めるということじゃな?」



「さすが殿。感が鋭いですな。その通りでございます。畿内の諸大名にとっても、徳川から見れば我々が諸大名の城を攻撃せず、そのまま素通りしていっただけと見えるでしょうし、直接は我々にも味方していないことになります。」



牢人衆、譜代の家臣たちから歓声があがる。



「だが畿内を取らずに周辺諸国を取っても意味がないではないか。」



またもや大野治長から指摘が入る。淀から何か言い付けられているのだろうか。だが信繁にとっては、しめた!と言わんばかりの質問だった。



「良い質問をしてくれました。あくまで諸大名とは軍事通行権と金銭の契約をしただけですので、同盟ではないのです。周辺諸国をとる理由はそれらの大名に対して包囲網を敷くためです。これは、裏切りではありません。もし何か言ってくる場合、豊臣家から金銭を受領したという事実を公開するのです。金銭をもらうという契約を反故にした方が、裏切りと心得ます。そして畿内を取れば、自然に味方に付く勢力は現れるでしょう。」



「それが左衛門佐の策なのだな。あいわかった。では次は市兵衛じゃな。」



「はっ。結論として、ここ大坂城で徳川に勝てるというのは無理かと存じます。」



「それはこの城を築かれた亡き太閤殿下に失礼ではないか!」



正則の言葉に治長はすぐさま反応した。その理由は信繁にも直ぐに分かった。何せ、淀は大坂城にて徳川を迎え撃つというのが絶対条件であり、その事を周囲に漏らしていたのでその噂は広がっていたからである。その事を淀派の治長が認めるわけがないからだ。



「何故かと申しますと、大坂城は南側が弱く、そこを攻められたら一溜りも無いからです。」



正則は治長の言葉を無視し、話を続けた。



「では、そこに出城を築けばどうでしょう。ですが某には荷が重い。真田殿に出城を任せるのはいかがでしょうか。」



「そうじゃな、左衛門佐なら任せても良いであろう。」



「そんな、某にはとても…」



「そうですな、真田丸とでも言いましょうか。そして二つ目、徳川との講和は絶対にしないことです。奴らの目的は講和です。絶対にそれだけは守っていただきたい。」



「心得た。どちらとも良い案だ。では畿内を席捲し、大坂にて迎え撃つ。これでどうであろうか。」



『御意。』



「ただ、一つだけ問題がある。」

誤字、脱字がある場合があります。なるべく早く直しますのでお願い致します!

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