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紅い侍  作者: 柴崎龍
第三章 徳豊争乱
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第四十六話 関ヶ原



美濃国・関ヶ原



慶長21年(1616年)12月23日朝、天下分け目の戦いは徳川方・松平忠直隊の発砲で幕を開けた。



「者ども、進め!狙うは家康の首ただ一つ!」



最初に激しい戦闘となったのは発砲した松平忠直隊と宇喜多秀家隊の攻防であった。



「雑兵に構うな!とにかく前へ進め!」



「殿!この明石掃部もご助力致します!」



「頼もしいぞ!」



しかし松平忠直は宇喜多秀家、明石全登という歴戦の武将たちに一歩も引くことはなかった。



「宇喜多など敵ではない!さっさと片付けろ!」



美濃国・関ヶ原 徳川秀忠の陣



忠直隊優勢の報を聞いたこの男も動こうとしていた。



「頃合いだな。」



「そろそろ参りますか。」



「我らはこれより秀頼本陣に攻めかかる!敵は弱兵、恐るるに足らず!」



美濃国・関ヶ原 豊臣秀頼本陣



「徳川秀忠の軍勢がこちらへ向かっておりまする!」



「秀忠よ…雌雄を決しようではないか…」



両軍でそれぞれ最大兵力をもつ秀頼と秀忠の衝突は混迷を極めた。



「進め!大将首を狙うのじゃ!退く選択肢など我らにはない!」



美濃国・関ヶ原 後藤又兵衛の陣



激しい戦闘が起こっていくなか、この男はまだ考えていた。



「父上、戦闘は始まっております。今すぐご決断を!」



「ええい!黙っておれ!この戦、かつてのように直ぐには終わらぬ!時を待つのじゃ!」



「何を悩まれておいでですか!父上は徳川方に決められたのではないのですか!」



又兵衛は更にその顔を顰めた。



「斯様なこと分かっておるわ!時が来れば山を下り宇喜多を叩く!」



美濃国・関ヶ原 松平忠輝の陣



秀頼と秀忠の直接対決が激しさを増すなか、其れを横目に挟撃の機を狙っていたのが松平忠輝隊であった。



「前線はどうなっておる!」



「些か両軍兵が多く、向かい合う形で戦っております故敵方に隙が生まれてきませぬ。」



「早く功を立てねば…此度の戦こそ活躍し、父上に認められなければならぬ。」



「秀頼本隊は勿論ですが、真田の動きも気になりまする。」



「真田か…確かに動きがまだないな、不穏じゃ。」



そんな忠輝隊に、突如紅い閃光が差し込んだ。



「あれは、六文銭…」



「雑兵に構うな!忠輝を蹴散らせ、向かうはこの先の家康の陣よ!」



幸村は片手に持つ大千鳥十文字槍を振り回し、その道を切り開いていく。



「ここには気概のあるものは一人もおらぬのか!」



突如濃霧から現れた赤備えに、忠輝隊は大混乱に陥った。



「者ども怯むな!真田がどうした!ここで幸村の首をとってこそ武士というものよ!」



忠輝も負けじと声を上げ、必死に応戦する。



「流石は古狸の息子、ただでは通してくれぬな。」



「殿!」



「どうした内記!」



「ここは先をお急ぎくだされ!ここはこの内記にお任せを!」



「頼んだ。死んではならぬぞ、内記。」



「勝つまで死ねませぬ。」



「その意気じゃ。よし、者ども、ここを突破し、家康の首を貰い受けるぞ!」



美濃国・関ヶ原 徳川家康の陣



家康は煮え切らない態度の後藤隊に苛立っていた。



「後藤はまだ動かぬのか!」



「動きは特にありませぬ…」



「後藤は何と言っておる。」



「いや…大御所様が使いは送らずともよいと…」



「たわけ!何をしておる!早う送れ!」



「はっ、承知致しました!」



「そうじゃ、福島の動きはどうじゃ。あれが南宮山におる限り動きにくい。」



家康の本陣からみて福島正則が陣を敷く南宮山はまさに真後ろで、山を下りれば徳川本隊をいつでも狙い打ちできる要所であった。



「それが、何やら騒ぎがあったようで。」



「騒ぎ?」



「内容は詳しく分からぬのですが、かなり混乱しているようです。」



家康は口角を上げた。



「今すぐ調べよ。敵は福島じゃ。」



美濃国・関ヶ原 福島正則の陣



「殿がおらぬ!早う殿を探せ!」



「どうしたのだ。何事じゃ!」



「殿がどこにもおらぬのだ。」



「馬鹿を申せ。そのようなことがあるわけはないではないか。厠にでも行っておられるのだろう。」



「兜や鎧があそこに脱ぎ捨てられたままなのじゃ。」



そこには、確かに福島正則の兜や鎧、その他の武具が脱ぎ捨てられていた。



「何と…」



「もし徳川に寝返ることを決められたのならご自身だけで寝返っても意味はない。」



「それはそうじゃが、最後に見たのはいつじゃ。」



「戦が始まり、儂は殿に戦況の確認を仰せつかった。それが最後じゃ。」



「周りの者は?」



「それがその時ちょうど皆席を外しておって、誰も見ていないと…」



「何じゃと?」



別の家臣が額に大粒の汗を垂らしながら駆け寄ってきた。



「大変じゃ!家康がこっちに向かっておる!」



「何?!」



「まずは冷静に、直ぐに迎え撃つ用意を。」



「殿はどうするのじゃ!」



「いないものは致し方ないじゃろ!」



「おのれ古狸め…」



こうして大混乱の関ヶ原の戦が再び幕を上げたのであった。





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