表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅い侍  作者: 柴崎龍
第一章 父の教えを胸に
4/41

第四話 福島正則、大坂入城。

最近更新途絶えてました。すいません。m(_ _)m




その者が来て、牢人衆の顔つきが変わった。その者を見て感銘を受ける者、今にも怒りが爆発しそうな者。牢人衆の心情が一瞬で見てとれた。



「遅ればせながら、福島市兵衛正則、右府様の元で徳川に一矢報いに参った。」



「何が一矢報うだ。」



牢人衆の視線が一気に秀家に集まった。



「…」



正則は言葉を失う。



「儂が参陣していると知りながらやってきたのか。」



「…」



「答えよ!!」



「知っておった。」



秀家は正則の肩に掴みかかる。



「お主のせいで儂は数々の兵を失った!どうしてくれるのだ!どうして…」



秀家は言葉に詰まり、泣き始めた。



「備前宰相も含め、市兵衛に対して複雑な思いを持っておるものは少なからずともおるであろう。だが、市兵衛も申し訳ないと思っておる。許すことはできぬであろうが、戦に仲間割れは禁物。どうか、上手くやってくれんか。」



「本当に申し訳ないと思っておる。本当にすまぬ。」



「早速だが、市兵衛。何故ここに来たのか、経緯を皆に話してくれ。」



「御意。少し前、江戸城へ行った時に、幕臣どもの話し声が聞こえたんじゃ。幕臣どもは、『この戦が終われば肥後の加藤忠広、安芸の福島などの豊臣恩顧を潰すと大御所様は言っておった。』と言う話をしておったのじゃ。」



「結局手柄か。」



牢人衆の中からそんな声が聞こえた。



「そんな時、大坂城に呼ばれ、上様から参陣の命を受けた。」



正則は大名なので、大坂城に呼ばれるのは当然ではあるのだが、牢人たちからは嫉妬の目を向けられる。



「だが儂は内心迷っておった。何故なら豊臣方は負けると考えていたからだ。」



「上様に対して失礼であるぞ!」



秀頼の近臣から声が上がる。



「良い。続けよ。」



「はっ。だがそんな時、上様に叱責されたのだ。『たわけ!誰のお陰で武士になれたと思っておるのだ!領地も家族も捨てて豊臣の為に尽くすのが豊臣恩顧の勤めでは無いのか!』と言われたのだ。そして思い出した。今の儂は、豊臣の事など他人事にして、家名を守るためにただ努力しているだけであったと。何故治部が憎いと言う理由だけで家康に付いてしまったのかと。だから本当に諸将には本当にすまなく思っておる。申し訳ない。」



「皆もこれで分かってくれたであろうかの。では、軍議をしようか。」



「上様、少し宜しいでしょうか。」



「なんじゃ備前宰相。」



「ここに来たからには、市兵衛殿もそれ相応の覚悟を持ってきたと言うことでしょうから、策をこの場で発表して頂くのはいかがでしょうか。」



「それは面白い。市兵衛、言えるか?」



正則は待ってましたと言わんばかりの顔をして、



「はっ。恐れながら、発表させていただきます」



と言った。



「上様、恐れながら、某も策を持って来ましたので、某も発表しても宜しいでしょうか。」



「ほう。それは面白い。やって見せよ。皆もそれで良いか?」



「真田殿と福島殿の勝負か、面白くなりそうだな!その勝負、乗った!」



又兵衛を初めとした牢人衆が賛同していく。



「では、左衛門佐から、頼む。」



「御意。」

史実でも正則は豊臣に味方するように誘いを受けたそうですが、断ったそうなので、これも物語に入れてみました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ