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71話 作戦

「拓実、今度の休み空いてるかな?」

「ん? ああ、たぶんなんもなかったと思うけど」


 頬杖をつきぼーっとしていた俺に、セインはそう言って話しかけてきた。

 次の授業は移動教室で、恐らく教室に人が少ないところを見計らって話しかけてきたのだろう。

 

「じゃあみんなで遊ばない? 私行きたいところあるんだ!」

「行きたいとこ?」

「うん、遊園地行ってみたいの。ダメ、かな?」

「別に、いいけど……」


 そんな顔でお願いされて誰が断れるかよ。

 俺が参加の意を示すと、セインは目一杯頬を緩ませ「やったー!」と思いの丈をそのままに声を上げる。

 しばらくして、細かいことは後でみんなで話し合おうと告げ、セインはスキップで教室を出て行った。

 そしてすぐに手ぶらで教室を出たことに気付き、戻ってきて「忘れ物、忘れ物」とか呟きながら必要な教材を手に、また教室を後にした。


「なんてかわいらしいんだ……」

「僕の脳内フォルダに永久保存さ」

「やばい、移動しないといけないのに椅子から立てねえ」

「いやいや、早く立てよ」

「たってるからたてねえの! こういうときはオカマを思い浮かべればなんとか――」


 みんなまだ午前中だからか頭が回っていない様子だ。教室に女子が一人もいないからいいものの、かなり最低なこと言ってるやつもいる。よし、聞かなかったことにしとこう。


 まあ、珍しく俺に罵声が浴びせられる様子がないので、そこはよしとするか。


「拓実、何の話?」

「ん? なんか遊園地にみんなで行かないかって。修も来るか? 今度の休みに行くって言ってたけど」

「へー、面白そうだね。でも、俺が行ったら邪魔じゃない?」

「邪魔ってなんだよ。男一人じゃ心細いし来てくれよ」

「わかった、じゃあお言葉に甘えて」

「おう、じゃあ伝えとくわ。よし、じゃあ移動しようぜ」


 時計を見るとあと数分で授業が始まる時間だった。これは少し早足で向かった方がいいかもしれない。


「おい、お前らちょっと待てよ」

「なんだよ雄牙。もうすぐ授業始まるぞ。早く行こ―ぜ」


 廊下に出てしばらくすると後ろから雄牙が俺たちを追いかけてくる。

 少しだけ歩くペースを落とし、俺たちに追いついた雄牙は


「聞いてたぞ。今度の休みお前ら二人で遊ぶんだってな」


 と、何故か得意げに言ってきた。


「いや、俺ら二人とあと――」

「そうそう、俺たち二人で遊園地行く予定なんだけどもしかして雄牙も遊べるの?」


 俺の言葉を遮り、修はセインたちのことを伏せ、あくまで俺たち二人で行くと雄牙に伝える。


「仕方ねーなー。丁度偶然たまたまうっかり休み空いてるし行ってやるよ!」

「わーい、うーれしいなー」

 

 修は不気味な笑いを浮かべながら棒読みで言葉を返すも、雄牙はそんなことにも気付いていない。

 女の子が苦手な雄牙を当日に驚かせようという作戦らしい。

 男二人で遊園地行くってところで不審に思ってもよさそうなもんだが……。

 


 なんにせよ、今度の休みは退屈しなさそうだ。

 その後、俺も修に加勢して本当に一言もセインたちのことは伝えぬままあっという間に当日がやってきた。

 


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