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変態の日常的生活  作者: 荒崎 藁
変態たちの新居!
5/66

お引越し!の2

「よし! 前澤! カードを!」

「それじゃ、じゃんけんして勝った方が先に」

「じゃんけん! 燃えてきたぜ!」

 じゃんけんに備えて俺は準備体操をする。

「じゃんけん……今日はアイツが意気立っているようだ」

 境は自分の拳を見つめニヤついていた。

「やろうか……」

「おう」

 一気に辺りが静まった。

風で、今はスーパーで五円で売られているビニール袋が飛んでいく。

「最初はグー!!」

 一瞬、境と目が合う。

「じゃんけん……」

 いざ、霊界の地より来たりし者よ。俺に……志多野に霊力を分け与えたまえぇ!

「ポン!!」

 俺は霊力が集まりやすいチョキ。集まりやすいかは自己判断。

一方の境は……

 チョキ。

「なかなかだな

「あいこで……!!」

 霊力が足りないんだ! もっと俺に、ゴーストパワーを!

出でよ! ゴーストソオオォォウル!!

「しょ!!」

 もちろん俺はチョキ。

さて、境は……

――――

さっきのビニール袋が風で舞い上がる。

「うああああああああああ!」

 叫んだのは、境だ。

「はい、じゃあ志多野、あんたが勝ちね」

 前澤から勝利のゴールドカードを受け取った。

境は炎で簡単に燃え尽きてしまう紙の如く、大きな平手、パーだった。

「よっっしゃああああああ!」

 そして、カードを挿入口に入れる。

シャッ

――認証登録のため画面に手を置いてください。

「おう!」

――登録完了、登録名を入力してください。

「任せとけ」

――認証登録完了、登録番号『零零四』志多野様。

 シャッ

機械的な何かから戻ってきたカードを取り、確認する。さっきまで何も書かれてなかったが、しっかりと俺の名前と登録番号と長ったらしい数字が刻まれていた。

「次、って言っても最後だけど。境、ほんとのラストを飾れよ! 自分で言っただろ?」

 俺は前澤から最後の一枚を受け取り、境に渡す。

「ばっかやろう……当たり前だ! ラストはやっぱり俺でないと!」

 シャッ

――認証登録のため画面に手を置いてください。

「いいだろう」

――登録完了、登録名を入力してください。

「境! さ・か・い!!」

――認証登録完了、登録番号『零零五』境様。

 シャッ

「さて、屋内へ入りましょうか。荷物はほぼ業者にやってもらったから、後は細かい荷物だけ片付ければいいわ」

 シュッ

カチャ。

どうやらこのゴールドカードを隙間に左から右へスキャンするとカギが開くらしい。

 玄関の扉が、とうとう開かれた。

 ――新品の玄関、新品の廊下、新品の壁! 傷一つ見当たらない。

そしてこの玄関の広さ、五人みんなが一緒にいたとしても窮屈を感じない。てか広々としている!

なにより目の前に広がる廊下が長い! ここから一番奥の部屋に通じるドアが携帯くらい小さく見える。

下見で前に見たはずなのに、言葉を失っているのか誰一人として喋らない。実際俺もだ。

「ねえねえ、まず何する?」

 屋内の第一声は阿部だった。先を超されたけど今は許す。

「やっぱり俺たち恒例の思い出作り、記念ビデオ撮影じゃね!?」

 俺がみんなにそれを言うと全員賛同してくれた。

俺たちはイベントのようなことがあると毎回俺のビデオカメラで思い出を記録するのだ。

「明日があたしたちの新たな出発点になる日だから、一から自分のこと話すってゆうのどう?」

 うんうんと前澤の提案にみんなも答える。もちろん俺も。

「じゃあ早速」

 俺は田仲が背負っているショルダーバッグから大型のビデオカメラを取り出す。

「リビングでやろうぜ。俺が送ったソファがあるはず、そこで一人ずつ座って録ろう!」

 拒否する理由などない。みんな頷いた。

 リビングは廊下の一番奥にある。

遠い。

そして重い。

ビデオカメラとその脚立を持ってこの長い廊下を歩くのはきついな……。


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