平和が一番!
「………………そう、平和ね」
前澤は優しい笑みを浮かべながら、ワゴンに置いてある雑誌を手に取って読み出した。
「さっきオーラがどうのこうの言ってたけど、もしかしてこのこと?」
読んでいた雑誌を俺たちに見せてくる。
「そうだぜ! 漢のオーラが漂ってくるだろ?」
前澤が持った本の通り、このワゴンには筋肉ムキムキなオッサンの雑誌しか置かれていない。だから漢のオーラを感じるのだ。
「今かなり感じたわそのオーラ」
「なら、前澤もやるか? エスカレーターゲームを!」
「遠慮しとくわ」
間髪入れず前澤は答えた。
「ふぉーひ、ひふはー!」
この声は! てか今なんて言った!?
「やっと現れたか! ってなんだその荷物の量!」
両手で持ちきれなかったのか、首に袋を提げている。口にも咥えている。
「ずいぶん買ったな! ほら貸せって一つくらい持ってやるぜ」
「はひがと」
境が阿部から袋受け取った。
「うお! おもっ! てかなんかベトベトしとる!」
不覚にも境は口に咥えていた袋を持ってしまっている。そこまでよだれ付くもんなのか……。
「首に提げとるやつ持ってやる。さすがにかっこ悪すぎるぞ!」
俺も阿部から袋を受け取る。
「うっおもっ! 何冊入ってんだよこれ」
「さあ? じゃあもう用事済んだし! 次行こう!」
「うん!」
今この場で誰が思っただろう。田仲が声を張り上げて頷くなど。そんなに園芸店に行けるのが嬉しいんだな。
園芸店に行くまでの道のりは田仲が先導した。
凄いぞ。今日何かが違うぞ。田仲のテンションが!
店に入ると同時に田仲は一人で店の奥へ消えてしまった。
「さて……俺たちはここでどうやって暇を潰すかだな」
「おう!」
「暇ってあんたたちね……」
夕真と悠奈は阿部が引き連れてキレイな花を探しに行ったのでいない。
「そうそうこんな時のために俺家から持ってきたんだよ」
境はガサゴソとカバンを漁り、でかい板みたいなのを出した。
「それ何?」
「オセロだ!」
園芸店でオセロ! しかも地べたで!
「おもいっきりチョイスミスってんじゃねえか!」
「そうか? じゃぁこれは?」
そう言って見せてきた物、チェス!
「大して変わらんわ!」
「そうか志多野は将棋のほうがいいか……」
「そーゆう問題じゃねえ!」
読んでくださってありがとうございます。
かなり更新遅くなりました。すいません。
風邪のウイルスって怖い!
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では次回に