表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
±0  作者: 日向陽夏
第1章 殺人カリキュラム【前】 処刑斬首編
63/392

第3話 生首プール⑯

 「…………殺すか」

 静かに宣言する。だが、ただでは殺さない。屈辱を与えて殺す。想像を絶する屈辱を与え、発狂させて無様に泣き叫んでいるところをこの手で殺してやる。田森。

 「ひゃくまんえええんッッッ! ひゃくまんええんッッッ!」

 田森はケタケタと笑っている。生首プールの上で、狂ったように百万円と叫んでいる。

 「ふふ、ははは、ハハハハハハ! そうか、そうだよな! 馬鹿なこと聞いてごめんな?」

 俺の悪魔のような哄笑が木霊する。人間を奴隷と断言し、自らを王と疑わない田森。そんな田森を、どんな目に遭わせてやろうか。それを考えるだけで、高揚で胸が張り裂けそうになる……。

 ――――ドクン。

 俺のスカーレットジェネシスが、パープルへと変色。無限に力があふれ出すのを、感じる。

 「…………力が、力がみなぎってきやがる。これは、まさか」

 「兄さん、そっちに行っては駄目……っ!」

 結が焦ったように俺を呼ぶ。が、もう遅い。

 こんな悪と対峙してなお、俺は俺の善性を保てない。保てそうに無い。ただでさえ冷酷無比な性格な俺のか細い善性など、一瞬で裸足で逃げ出すよ。まったくなぁ……。

 完全たる悪を前には、こちらも悪になるしか、それしか道が無い。悪の前で善であること、それ以上の愚行はこの世に存在しない。そう、断言出来る。

 「…………溢れてくる、なんだ、これは。これが、SSランクのジェネシス……か?」

 俺はじっと両手を見つめる。無限にジェネシスが溢れ出し、力がみなぎってくる。どうしようもないほどの万能感。今なら、何でも出来る。そう確信してしまうほどの、圧倒的な力。

 「ようやく“こちら側”に来たわね、零」

 花子が嬉しそうに俺を見つめ、俺を呼ぶ。

 「タイムリミットは30秒か。短いが、まぁ、いいか」

 ニタリと、俺の唇が三日月型に歪む。

 「な、んだ、この、禍々しいジェネシスは」

 田森は恐れるように、半歩後ろへさがる。さっきまでの威勢はどうした?

 《監禁傀儡》――カンキンカイライ――

 俺は両足にジェネシスを集め、一瞬で田森の背後に回ると、その頭を掴み、鎖で縛る。

 「ぐっ……速い」

 「田森慎二。俺への攻撃を許さない。まずは速やかに自分の両足を切断せよ」

 「っ、ぁぁ、あああああああああああああああああああああああッッッ!」

 田森は叫びながら、自らの剣を振るい両足を切断した。ムカデのように這い、床にベッタリとした血が広がっていく。俺は嘲笑いながら、傷口を思い切り足で蹴り飛ばす。

 「ぎゃああああああああああああああああああああああああッッッ!」

 田森は叫びながらのたうち回る。

 「田森ィ、まだこれからだぜ? なあ、お前。ノルマを達成するだけでは飽き足らず、それ以上に殺人を犯し、金の為に生首を集め喜んでるようなクズ野郎に、なぁ? どんな最期がお似合いだと思う? 命乞いでもしてみろよ。もしかしたら俺の気が変わるかもしれないぜ?」

 のたうち回る田森の右腕を俺は切断し、左腕だけがついている状態にする。それはまるで、子供に弄ばれて死にかけている昆虫のようだった。

 「た、たすけ、オタスケエエエ! オタスケエエエ!」

 焦点の合わない目で、左手で必死に俺の足首を掴み、ヨダレを垂らしながら命乞いをしてくる田森。その顔面を、思い切り靴で踏みつける。

 「オダズゲエエ! オタズゲエエエエ!」

 それでも必死に、田森は命乞いをしてくる。

 「あー、無駄無駄。それ、その命乞い。どのみちお前はこれで死ぬしか無くなったから。出血多量でジ・エンドだ。俺がトドメを刺さずとも、お前はもう終わってんだよ」

 「オダズゲエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」

 号泣しながら、それでも田森は命乞いをしてくる。

 「ハハッ、いいザマだな」

 「零!」

 結の一括で、俺は我に返る。

 「時間が無い。セリカが壊れてもいいの?」

 結が責めるように俺を睨み付ける。

 「だが、まだ途中だ」

 俺はゴミを見るような目で、真っ直ぐに結を見据える。結は俺から目を逸らさず、真っ直ぐに見つめ返してきた。その精神的な強さは、僅かながらセリカを彷彿とさせる。

 「セリカがどうなってもいいっていうの? 零にとって、セリカってその程度なの? こんなくだらない男の拷問の方が、セリカより大事なの?」

 あなたには分からないでしょうね。人を信じるってことの、気持ちが。その大切さが。

 セリカの真っ直ぐな瞳。俺を信じて疑わない目。あいつは、あいつだけは、裏切れない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ