星祭り!(2)
HRの時間。
星祭りもいよいよ残り1週間となった。
ライブメンバー集め等も済んでいる。その時は…兄貴がいると相手が恐がってしまう為席を外してもらっていたが。
この期間はどのクラスもHRの時間は星祭り準備の為の時間に割り当てられる。星祭り委員会はこの時間を使い召集をかけていた。
委員会の仕事は順調に進みほとんどのクラス、部活、個人的な準備は進んでいた。
「さて、星祭りまで残り1週間となった。作業や仕事はもう少ないが何があっても穏便に対応する様に。これからが星祭り委員会本番だ。気を引き締めていこう!」
「「「オオオオオオオオオ!!!」」」
「よし、文太。ライブに必要な道具が今日届くよ。確認しに行こう」
「うん」
今日は兄貴は参加しておらず、うちのクラスでは文太と私2人のみとなった。
朝起こす時には既に家にはおらず、そのまま1日見ていない。サボりなのだろうか。兄貴に限ってそれはな…ありえるか?
「んじゃ、おそらく職員室に保管されていると思うから職員室に行こう」
椅子から立ち上がり、星祭り委員会の会議室から出ていこうと扉を開けると
「お、文太と高林じゃないか。ちょうどいい」
ダンボールを抱えた担任がいた。
「先生、どうかしたんですか?」
私が問いかけるとやはり気だるそうな様子で担任は答えてくる。
「ライブ道具が届いたんでお前らに渡した方がいいと思ってな、んじゃ後は任せたー」
といい、私に押し付けるようにダンボールを渡してくる。
「んじゃ、文太。確認しようか」
「あ、うん」
私と高林は壁に寄りかかってあくびをしている担任を横にダンボール内を確認する。
「配線コードに…スタンドマイク…それに…」
文太がリストを見ながら1つ1つ確認していく。
「よし、おっけいだ。全部揃ってる」
といい、笑顔になる高林。
私もつい笑ってしまう。
「このままなら間違いなく星祭りに間に合うね」
そう。このままなら絶対に上手くいく。
このまま行けば…!
ビービービービー!
突如全てのクラスに設置されているランプが赤く光り回り始め、警戒音が鳴らされた。
「な、なんだ…!?」「キャァァ!?なに!?なにぃぃぃ!?」
突如の警報に会議室がざわめきはじめる。
続いての校内…ではなく、市営放送。
「異人の出現を確認しました。場所は星海学園周辺です。直ちに避難してください。繰り返します。異人の出現を確認しました。場所は星海学園周辺。直ちに避難してください」
「異人!?」「イヤァァ!?」「逃げろぉぉぉ!!」
会議室内が混乱に陥ってしまう。
そんな中、滅多に大声では聞かない声が響いた。
「お前ら落ち着けやぁぁぁぁぁぁ!!!」
担任だ。
その声に会議室内の混乱が止まる。
「異人出現時の避難について思い出せ!!まずは地下の避難ホールに避難しろ!!くれぐれも、大声を出したり必要以上に走らない様に!!高林、文太。悪いがお前達だけが俺のクラスの生徒だ。避難誘導をしてくれ」
思わず呆気に取られる…が、いつまでも呆気に取られる場合ではない。
「それではみなさん!私はこの部屋からの避難経路を確実に覚えています!私と高林の後に並んでついてきて下さい!並びの順番はとりあえず列になればなんでもいいです!」
会議室をでてそのまま地下避難室を目指す。地下避難室にさえ行ければ一時的に隔離されとりあえずの安全は確保される。
担任の指示も合ったようで星祭り委員会のメンバーたちは列になってついてきた。途中廊下でうろうろとしていた生徒も担任の声かけにより列についてきた。
「シャッター!!閉じます!!」
地下避難室に到着し全校生徒が揃ったところでシャッターが閉じられる。と思ったが
「先生!!織本さんが…織本織姫さんが見当たりません!!」
「なんだと!?」
クラスメイトの女子が担任に言う。
織本織姫…前の放課後の女の子か!!
「っ、お、おい!!文太!!どこにいく!!」
気がつけば私は走り出していた。
「織本さんを探してきます!!」
どんどんと閉じられていくシャッター。気がつけば私の腰くらいしか隙間がない。
「おい、やめろ!!文太ぁぁぁぁ!!!!!」
そのままシャッターにむかってスライディングする様に飛び込み、私の体が廊下に出たところでシャッターは閉じられた。
やれやれ、全く。
私もとんだお人よしのようだな。




